体を動かすことが好きで、面倒くさがり。勉強はきらいだけど、本は大好き。
気に入った本は何度でも繰り返し読み、どこでも本を3冊(今読んでいる本と、何度も読んだ好きな本と、内容が軽めの本)を持ち歩きます。
そんな本の虫の娘が、3年生で読んだ本の中から、ベスト10を選びました。
同級生には、ティーンズノベル、胸キュンものにハマる子も多くなってきたけれど、決して背伸びをしないはれちゃんらしいセレクトになりました。
1 霧のむこうのふしぎな町
お父さんから勧められ、「霧の谷」で夏休みを過ごすために田舎の小さな駅に降り立った、6年生のリナ。お巡りさんも知らないその場所へ、お父さんから渡された水玉もようの傘に導かれるようにたどりつきます。深い森の霧を抜けて突然あらわれたその小さな町は、石畳の道に、赤やクリーム色の家が6軒、まるで外国のような場所でした。さらに、その6軒のお店には、それぞれ風変わりな店主がいて・・・
下宿先のピコット屋敷のおばあさんに「働かざるもの食うべからず」と言われ、その本屋、船具屋、瀬戸物屋、おもちゃ屋、お菓子屋でお手伝いをすることになったリナ。
ケンタウロスや小人や小鬼が行き交い、魔法使いの子孫たちが店を営む「めちゃくちゃ通り」で、リナは一生懸命に働きながら、だんだんとみんなと心を通わせていきます。
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古くは不思議の国のアリス、母世代ならナルニア国物語やホビットの冒険のような、行きて帰りし物語の形のファンタジー。中学年に読みやすいほどよい長さなのに、その設定、描写、登場人物、どれをとってもイキイキと魅力的で目の前に不思議な世界が広がります。
繰り返し読むのにもちょうどよい長さで、はれちゃんは何度読んだことか。(4年生の今も時々読みます)最初は新版、その後、母が大事にしてきた旧版も読み、今は旧版派のようです。
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2 シノダ!シリーズ チビ竜と魔法の実
気風のよいお母さんに、植物学者でやさしいお父さん、そして3人の子どもと5人家族でマンションに暮らす信田家には、秘密があります。実は、お母さんは狐で、その血をひく子どもたちにも不思議な力が備わっているのです。もちろん、ママの親戚たちも何かしらの力を持った狐で、ひまがあると呼ばれもしないのに人間に化けて(おじいちゃんだけは、化けもせず)信田家に出入りします。
ある日、その信田家のお風呂場に小さい竜が住みついたことから、この物語は始まります。お風呂場に小さな雲を作り、すっかり落ち着いてしまったチビ竜。厄介者のおじさんが、お土産に持ってきた石。弟の背中に現れたウロコ。マンションを取り囲む無数のヘビ・・・次から次へとやってくる災いの数々に巻き込まれ、無事に信田家の日常は戻ってくるのでしょうか・・・
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一難去ってまた一難、どころか、去らないままに重なる災い。どんどんいろんなことが起こるので、一気に読み進めてしまいます。応援したくなる気のいい信田一家、そのもとを入れ替わり立ち替わり訪れるクセのある親戚たちも、いい味を足してくれます。
日本に古くから伝わる伝承を織りまぜたファンタジー。2003年からはじまったシリーズも、もう11作まで出ています。
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3 オンネリとアンネリのおうち
お父さんとお母さんが別々に暮らしていて、ふたつの家を行ったり来たりのアンネリと、子どもが9人いていつもてんやわんやの家で暮らすオンネリ。7歳のふたりの女の子は、ある日、薔薇横丁で「正直なひろいぬしさんに、さしあげます」と書かれた封筒をひろいます。お巡りさんに持っていくと、中には、たくさんのお金!やさしいお巡りさんは、正直なオンネリとアンネリに封筒を返しましたが、ふたりは、困ってしまいます。しかも、そこに、ちょうど「小さな女の子がふたりで暮らすのにちょうどいいおうち」を売りたがっているおばあさんが現れて・・・
ふたりが手にしたおうちの、その、可愛らしいことと言ったら!素敵な描写を抜き出したら、ほぼ前編になってしまうほど、ひとつひとつの部屋、家具、衣装、庭(しかも、その隅には小川がちょうど曲がって穏やかな湾になっていて桟橋までかかっていて)・・・カーテンから食器や調度類や料理の一々まで細かく語られる、そのすべてに心躍ります。
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1966年にフィンランドで出版された、最高の少女小説。この本の、80%は、女の子の憧れでできています。あとはかわいい魔法と、ちょっとした事件が10%ずつ。読んでいる間ずっと、幸福感が続くのですが、ラストにその平和で幸せで満ち足りた気持ちがピークになり、胸がいっぱいになります。
日本では2作翻訳されていますが、はれちゃんは、2作目の冒険系(本人談)よりも、この1作目が特に好きです。家やお庭や洋服など、うらやましいものの描写が好きで、自分くらいの子がこんなことをやっているんだと思うと、楽しくなるんだそうです。
映画も、可愛すぎて大変。我が家は映画館で見たから字幕だったけど、DVDなら吹き替えもありそう♪もう一度観たいな。
4 長くつ下のピッピ
準備中
5 魔女の宅急便
魔女のお母さんと人間のお父さんの子どもキキは、魔女の道を選んで、修行中。魔女は、13歳の満月の夜に独り立ちをして、まだ魔女のいない小さな町や村で暮らし始めなければならない、というしきたりがあり、ほうきで飛ぶことしかできないけれど、思い切りのいいキキにも、その時がやってきます。
時計台のある大きなコリコの町におりたったキキは、パン屋の2階に間借して、お届けものをする宅急便をはじめ・・・そう、みんな知ってるジブリ映画「魔女の宅急便」の原作が、この本です。
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映画も、原作の中のエピソードをうまく紡ぎ、ラストがドラマティックで、音楽も映像もとってもすてきです。でも、原作はもっとおもしろい!
海で人助けをしたり、絵や楽器を運んだり、いろんなものを届けるキキらしい仕事ぶりが、ひとつひとつの章になり、キキをはじめ、登場人物の気持ちのやり取りが丁寧に描かれます。それに、本では、キキの物語はまだまだ続くのです。コリコの町での2年目の暮らし、別の魔女との出会い、恋、結婚・・・・
はれちゃんは、2年生で1巻を読み、3年生で2巻目を。4年生の今は3巻を読んでいます。(その都度最初から)もったいないので、いっきには読まず4巻まででいったん止めるらしいです。
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6 手作り小路のなかまたち
「手作り小路」は、手さげ袋屋、ぼうし屋、ボタン屋、カード屋、そしてカフェの並ぶ袋小路です。主人公の3年生の女の子かなめちゃんは、カード屋のひとり娘。かなめちゃんを孫のようにかわいがってくれていたカフェ「ビーンズ」の奥さんが亡くなってしまいさみしい思いをしていたところに、外国を旅していたビーンズの孫、豆にいが帰ってきたところから、物語は始まります。
「しあわせが香る手さげ袋」「よくばりな麦わらぼうし」「思いだしてねのカード」「なくしたボタン」。それぞれのお店での困りごとを、豆にいの作るちょっと不思議な力のあるスイーツがふんわり丸くおさめていきます。
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誰かのために作り、よろこんでもらえることがよろこびという、もの作りのたのしさが描かれます。自分でもやってみたくなるはず。ラベンダーや小さな本やガラスのボタン・・・・女の子がうっとりするようなアイテムがたくさん出てくるのも、異国情緒のあるめずらしスイーツも、魅力的です。
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7 クリスマス・ピッグ
ジャックは、ぬいぐるみのダー・ピッグ(DP)が大好きでした。小さな時からずっと一緒にいたDPは、たくさん冒険しすぎたので、おもしろい匂いがしたり、色褪せて耳が固まったりしましたが、ジャックのことをなんでもわかってくれる大切な相手でした。ところが、あるクリスマス・イブ、悪いことが重なり、DPがいなくなってしまいます・・・
ジャックは、代わりにやってきた、姿形だけ似ている代用品のクリスマス・ピックと一緒に、人間たちに失われたモノが集まる「失(しつ)の国」に行くことを決意します。「捨てよいモノ」「失って困った」「嘆かれないモノ」「愛しいモノ」に分かれて暮らすその国で、巨大な「失」の組織に追われながら、果たして無事にDPを見つけ、元の世界に戻ることはできるのでしょうか?
子どもたちにとって、なくしてしまった大切なモノが行く先は、気になりますよね。そんな国を舞台に、人間が生み出し、失ったあらゆるモノたちが登場する、クリスマス・イブの一夜のファンタジー。
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ハリー・ポッターの著者の最新作。360ページとボリュームがありますが、文字の大きさがちょうどよく、読みやすいです。5、6ページごとに小さな章に区切られ、次々に場面が展開し、物語がぐんぐん進んでいくので、ページをめくる手が止まらなくなるのが、さすが!
最初はおもちゃや日用品ばかりだった「失の国」の住人ですが、だんだん「希望」や「野心」などの概念になっていき、なるほど。。。とはいえ、深追いせずにスピードに乗ったまま進めるのも、さすが。
アニメーションを見ているようにビジュアルが目に浮かび、3、4年生に充実の読後感をくれそうなエンタメ・ファンタジーです。
8 やかまし村の子どもたち
北欧の小さな村、やかまし村には、家が3軒だけ。その中屋敷と北屋敷と南屋敷には、「ちょうどいいくらいの年」の7歳から9歳までの子どもが6人います。3軒の家は並んでいて、木をつたって、子ども部屋の窓から行き来することもできるんです。
家族みたいな3つの家の子どもたちの日常が描かれるこのシリーズ。朝ベットにケーキが運ばれ、可愛らしい小さな自分の部屋をもらう、最高に素晴らしい誕生日の話や、兄弟のような犬を手に入れる話、目の見えない大好きなおじいさんの話、秘密の場所をめぐる男の子と女の子の駆け引きの話、遊び小屋を作ったり、干草で寝たり・・・やかまし村のいつもの日々は、私たちには憧ればかりです。
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母も大好きだったこのシリーズ。ひとつひとつの出来事だけでなく、北欧の自然の描写や、バケツにいれたジュースを麦わらで飲んだり、森で木いちごを食べたり、そんな何気ないことが全部憧れでした。憧れは大事。
はれちゃんも、自分たちで自由に遊びまわる子どもたちが、うらやましくてしかたありません。
「ああ、わたしたちは、なんてたのしいことでしょう!」という8歳のリーサの言葉で結ばれるこの物語。ほんとうに、子ども時代は、そんな気持ちでいっぱいに過ごしてほしいと、読み返すたびに思います。
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9 二日月
4年生の杏には、赤ちゃんの妹がいます。その芽生ちゃんが生まれたばかりの時には、笑顔でいっぱいだったパパとママが、この頃、泣きそうな顔をしたりため息をついたりしています。ミルクを飲んでもすぐに吐いてしまう芽生ちゃんは、出産時のトラブルで障がいがあり、大きくなれないかもしれないというのです。
入院も多い妹中心の生活、障がいのある妹。さみしかったり戸惑ったりしながらも、受け入れ、妹を可愛がり、杏は5年生になります。そして、仲よしの友だちに背中を押され、柄にもなく劇の主役をやることになった杏は、ひさしぶりに行事に来てくれるママのためにもがんばりますが、ママが芽生ちゃんも連れてくると知り・・・
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どうしても小さな妹が中心になってしまい、さみしいながらも芽生ちゃんが大好きな気持ち。大好きだけれど、「ふつうの子と違う」「障がいのある赤ちゃん」と思ってしまうことがあること。他の人の目が気になること。くらべてしまうこと。その自然にわきあがるいろいろな感情の間で、胸を痛め、向かいあう杏。
それぞれのやり方で立ち向かう両親や、まわりの友だちと関わりながら、未来へ向かう子どもたちの姿が頼もしく、さわやかです。
10 本屋さんのルビねこ
猫のルビは、ある日、猫のルビになりました。その前は、海辺の町の古本屋さんの棚にぎっしり詰めこまれた本の上に、長い時間をかけて音もなく積もったほこりでした。それが、吹き込んできた風で舞いあがり、床でころころころがって、だんだん大きくなり、やがて手足が伸び、しっぽがはえ、耳もとがり「みゃう」と声をあげたのです。
店主のモシモさんとのあたたかくおだやかな日々。美味しいごはんを食べ、本をながめ、いろいろな話をして・・・そんなある日、窓の外にやってきた、地元育ちのトラ猫となかよくなり、ルビの世界は広がっていきます。
ホコリから猫が生まれることも、海に落ちた星のような大きな魚も、すべてがつながって空にかかった虹も、まるでごく当たり前のような語り口に、現実と空想がゆるやかに溶け合います。
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この10冊の中ではいちばん短く、挿絵も多いけれど、小さい子向けでは決してない。何も知らないルビが小さな経験を重ね、ゆっくりと自分を得ていく物語は、詩的でおとなも魅了します。はれちゃんは、読み応えのある本の合間に、こういう本をよく繰り返し読みます。シリーズも4冊でています。
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いかがでしたか?
母のおすすめするロングセラーから、図書館で自分で見つけてきたり、お友だちから教えてもらったりする本まで、いろいろな本が揃いました。紹介するにあたり、母もすべて読みましたが、どれも、大人が読んでもおもしろい本ばかり。
図書館もよく利用しますが、何度も繰り返し読む子だし妹もいるので、気に入った本は購入することにしています。(なので、本棚がすごく大きい!)
最近は、次々に読む本たちは、自分で、読書メーターで管理。
読んだ本がビジュアル的にわかるし、自分の読書傾向がわかったり、好きな作者の本を探したり、似たような本が好きな子を見つけられたり・・・おもしろいです。
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はれちゃんのおすすめ本の紹介はこちらに並んでいます↓
本大好きな小学生が、好きな本を自分の言葉でおすすめします。本の写真も自分で撮っています。
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