長い春休みにうんざりしていたのが、なつかしい。
今では、家から出ることもままならない上に、お父さんまで家にいる!子どもの相手に、朝、昼、晩のごはん作りに、家事倍増・・・なんてお母さんの悲鳴も聞こえてくるこの頃です。
家族の協力なしでは、乗り越えられない、この事態。
もし、勝手気ままな家族にイライラしたら、この絵本でも読んですっきりし、何気なく、テーブルの上にでも、置いておくのはいかがでしょうか。
ピコットさん一家は、すてきな家に住み、きれいな庭とかっこいい車がありました。毎日、パパは大事な仕事に行き、息子たちは大事な学校に通います。
パパや息子たちは、毎朝大きな声で言います。
「ママ、朝ごはんは、まだかい」
「ママ、朝ごはん、まだー」
「ママ、夕ごはんは、まだかい」
「ママ、夕ごはん、まだー」
食べおわたっら、ソファーでくつろいで、テレビ鑑賞。
ママは家の中でいつもみんなの世話をして、それから仕事に出かけます。ごはんの片付けをして、ベッドを直して、掃除をして、仕事に行って、ごはんの片付けをして、洗濯をして、アイロンかけて、次の日のごはんの支度をして・・・いつもうつむいて家事をしているママの顔は、わかりません。
そんなある日、パパと息子たちが家に帰ると、ママの姿がありません。
「ぶたさんたちのおせわはもうこりごり!」と置手紙を残して、家を出て行ってしまったのです。
・ ・ ・
原書のタイトルは「PIGGY BOOK」。英語の「piggy back」(おんぶ)にかけてあるそうで、なるほど、表紙の絵につながります。
本の中には、アンソニー・ブラウンお得意の隠し絵で、文章とは別に、仕掛けや暗示がたくさん。
最初はほとんど気づききもしなかったぶたが、ページをめくるごとに、ふえていく。背広のピンが、影が、コンセントが、壁紙が・・・じわじわと。そしてついに、3人ともどこからどう見てもぶたのようになってしまったら、もう、月も植木も塩もコショウも蛇口も、どこもかしこもぶただらけ!
ママに頼りっぱなしだった家族は、ついにママのありがたさを思い知り、協力してくれるようになり(しかもそれを楽しいと思うようになり)、ママははじめて顔をあげて笑顔を見せ、めでたしめでたし。
の、はず。
でも、この絵本には、まだ、怖い仕掛けがあってね。お母さん、最後のページで、車の修理をしているのですが、そのナンバーがね・・・
・ ・ ・
ピンチはチャンス。
こんな時だから、一緒にすごす時間がふえて、家族そろってごはんも食べられる。家族の時間を見直す、いい機会だなあと、思います。
もやもやは、この絵本で、笑い飛ばしてね。
【この絵本のこと】
「おんぶはこりごり」
アンソニー・ブラウン 作 藤本朝巳 訳
平凡社
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、5歳くらいから。あちこちがぶたに変わっていくのを探すのは単純に楽しく、子どももよろこぶと思います。
ですが、やっぱり、この絵本は、ひとりでくすくすと読みたいなあ。もしくは、お父さんが子どもたちに読み聞かせているのを、こっそり覗き見してみたい・笑
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