ハックショーン!から何が起きる?とまらない、くしゃみの絵本や物語 8冊

はくしょん!はくしょん!あちこちから聞こえてくる季節です。

ハークション!!大きなくしゃみが聞こえると、つい振り向いてしまう、笑ってしまう。あの勢い、あの個性。

そんな「はくしょん!」から飛び出して、止まらない、どこに向かうか予測不能な物語たち。突拍子もない展開をみんなで楽しむ、読み聞かせにも向いています。

そしたらそしたら

どこからか青いビー玉がころがってきて、池に落ちた。

そしたらそしたら・・・かばがガバッとでてきて、大きなくしゃみをした。ぐわーくしょん!

そしたらそしたら、キリンがすってんきりんと転んで、そしたらそしたら、サルが笑い出して、そしたらそしたら、そのおかしな顔がテレビに映って、そしたらそしたら、お母さんがテレビを消して・・・

飛び出したくしゃみから繋がるハプニングの連鎖。あっちでもこっちでも、予想のつかないひと騒動。勢いのままに、冷蔵庫も怒りだすし、犬も踊るし、絵本の中の魔女も眠る。その騒ぎはどこに向かってどう終わるのかって?しまいには、シカが、青いビー玉をけっとばしてしまうんです。

そう、これはきりなし話。おはなしはぐるぐると回ります。最後の見返しがすごろくになっていて、全体がひと目でわかるようにもなっています。展開、擬音、絵。つかみどころがないのに、面白さは明瞭。谷川さんと柚木さんの贅沢なコンビ・・・さすがです。

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発売日:2000年05月  著者:谷川俊太郎, 柚木沙弥郎  出版社:福音館書店   ページ数:32p

チーターじまんのてんてんは

チーターは、からだに黒いてんてんがたくさんあるのが自慢です。いつもより、なんだか寒い日のこと。つめたい風がぴゅーっと吹くと、チーターはからだをぶるるるっとふるわせました。それから鼻をひくひくさせて・・・ひくひくひくハーックション!

とうとう大きなくしゃみがでると、なんと。チーターじまんのてんてんも、からだから飛び出してしまったのです!!てんてんは、どこに行ったのでしょう。

自慢のてんてんを取り返すべく、必死のチーターが可笑しすぎ。必死で追いかけて、くしゃみを出させるためにはとことん下手(したて)に。空から落ちていくてんてんを見つめる姿には哀愁が漂いまくります。そのお騒がせなてんてんは、しまうまにくっついて模様を複雑にしたり、シラサギにくっついたまま、また飛んでいってしまったり。そして、空に舞ったてんてんが、最後にくっついたのは・・・

自慢のてんてんの行方、絶対に想像つかないラストにギャフン!スカッと笑える絵本です。

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みやけ ゆま / BL出版

おじいちゃんのくしゃみ

ロッキングチェアでくつろぐおじいちゃんの足元でお絵描きに興じる孫。なんとものどかなひとときですが、おじいちゃんの鼻がむずっとすると、事態は一変。「あーーーーーーっちょーーーーん!」

飛びだしたくしゃみにそこらじゅうのものを吹き飛ばされて怒る孫娘に、おじいちゃんは、世界一すごい自分のくしゃみの武勇伝を聞かせます。鈴なりのりんごを全部落としたこともある、町で出会った猛獣たちを吹き飛ばしたこともある、椅子に座ってくしゃみをすればどこにだって飛んでいけるんだって?!

まるで信じていない孫娘ですが、ちょっと目を離した間に、おじいちゃんに特大のくしゃみが到来。そのままどこかへ飛んでいってしまいまい・・・

おじいちゃんがエジプトまで飛んでいってしまったまま、この絵本はおしまい。送られてきた手紙と添えられた写真で、満喫しているのがわかります。最後の見返しに飾られた写真は「おじいちゃんなんてだいきらいよ!」という口癖と裏腹のふたりの関係がよーく伝わり、微笑ましいやら、可笑しいやら。

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発売日:2023年05月  著者: 阿部結 レーベル:日本傑作絵本シリーズ  出版社:福音館書店   ページ数: 40p

くしゃみおじさん

ある家の裏庭で、なに不自由なくのどかに暮らしていた、うさぎとねこと大きな犬。ところが、ある日荷馬車を引いて通りかかったおじさんのくしゃみで、事態は一変。大きなくしゃみに吹き飛ばされて、耳や鳴き声が、ごちゃ混ぜになってしまったのです!

うさぎの耳でワンと吠えるねこ、ねこの耳のうさぎ、ニャーとなく犬。ケンカをしてもしょうがないと、3匹はくしゃみの主のおじさんを追いかけますが、その道々で出会ったのは、羽がすっかり抜けたガチョウに、トサカがとれて頭に尾羽をつけたおんどりに、上着が左半分だけになって頭にくつをかぶった男の子に、おさげのとれた女の子・・・そう、みんなくしゃみの被害者たち。

みんなで勇んでくしゃみおじさんの家を訪ね、訳を話すと、おじさんはくしゃみをして元に戻すことを了承してくれますが・・・

もう、最初から最後まで、はちゃめちゃです。大きなくしゃみみたいな勢いで進む物語は、つっこむ暇もなく、笑うしかありません。くしゃみの音もたくさんあって挿絵も可笑しくて、低学年のひとり読みにも向きますが、声に出して読み聞かせてみんなで笑って楽しむのがおすすめです。

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発売日:2021年07月  著者、訳者:オルガ・カブラル,山村浩二 小宮 由  出版社:岩波書店  ページ数 :62p

山村浩二さんのユーモアたっぷりの挿絵で、物語の楽しさが増しています。でも、原書のこちらも、見てみたいかも。

はなとりかえっこ

空が青くて、庭には花がいっぱい咲いて、並木の葉がピカピカひかる、そんな気持ちのいい天気の日。窓を開けて思いきり深呼吸をしたアラさんですが、そのとたん、「くしゅん くしゅん くしゅん」。そう、アラさんは、この季節になるとくしゃみの病気にかかってしまうのです。

くしゃみがで始めると、何をやってもイライラ。自分の鼻がイヤになってきたその時、ドアたたく音がして、まるまる太ったブタさんがやってきました。鼻をとりかえっこしましょう、というブタさんの言葉に半信半疑だったアラさんですが、今までに鼻をとりかえた時の楽しい思い出やくしゃみの鼻になってみたいと朗らかに語るブタさんの話、さらには鼻で掃除ができることなどを聞いてその気になります。

思いきって鼻をとりかえ、さっそく鼻息で掃除するアラさん。最初は調子がよかったのですが・・・

子どもらしい発想や行動が角野栄子さんの手にかかり、なんとも可笑しくほのぼのユーモラスな物語に。行き着いたハッピーエンドも◎で、読むのが楽しい童話です。

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発売:2023年04月  著者:角野栄子(作), さとうあや(絵)  出版社:偕成社  ページ数:47p

くしゃみくしゃみ天のめぐみ

くしゃみ、しゃっくり、いびきに、おならに、あくび・・・そんな(子どもたちの大好物の)生理現象がでてくる5編のものがたり。

ものすごいくしゃみのおっかあのいる青年が独り立ちをするために、山向こうの村へくしゃみで飛ばしてもらったら、お金持ちのお屋敷に落っこちて・・・という型破りなあらすじながら、ほっこりとめでたしめでたしになるのが、題名にもなっているくしゃみの話。

ぼんやり男の止まらないしゃっくりが転じて、商売がうまくいってお金持ちになる話。いびきが大きすぎて寝る場所のない男が、かみなりさまにスカウトされて天に行く話。音もにおいも天下一品のおならの持ち主のおじいさんが、変な生き物を助けて願い事を聞いてもらい、おならがうぐいすの声になった話。あまりに大きなあくびをするので、そのうち雀の家族が口から出入りするようになった、なまけものの男の話。

昔話の形式に乗せて、大まじめに語られるユーモア話。梅、つばき、桜・・・春を迎える花々が名脇役で物語に春の香りを添えています。

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発売日:1983年03月  著者:松岡享子, 寺島龍一  出版社:福音館書店   ページ数:96p

はっはっはくしょーん

最後は、小さい子も楽しめる、幼児絵本を。

いたずら好きのくしゃ虫くんが、ぶーんと飛んできて、動物たちの鼻にとまります。すると、みんな、はっはっは、はくしょーん!

かめさんは甲羅を飛ばし、きりんさんは首がちぢみ、ぞうさんは?らいおんさんは?

くしゃみをすると何かが起こる・・・単純なくり返しですが、ちいさな子にはそれがおたのしみ。幼児期を過ぎた子どもたちだって、意外?!やっぱり?!読み聞かせをすれば盛り上がること間違いなしです。裏表紙の、鼻をかくしている動物たちの姿にも、くすり。

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発売日:2020年01月  著者:あいはら ひろゆき, ちゅうがんじ たかむ  出版社:KADOKAWA   ページ数: 28p

シリーズで、「ひっひっひくしょーん」「へっへっへくしょーん」も出ています・笑

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いかがでしたか?

わたしも、花粉症。つらい季節ではありますが、そんなくしゃみも楽しみにかえて、明るく春を迎えましょう♪

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