【読書感想文】読んで紹介!課題図書 低学年の部【2022】

絵本屋で小学生ふたりの母が、2022年度の課題図書を実際に読んでみました。

どれを読もうかな・・・夏の読書の本選びに迷ったら、お役立てください。

感想文を書くことには賛否両論ありますが、好きなものについて考えることや、話すことや、書くことや、紹介することは、本来たのしいことのはず。

読むのは、みんな。感想は、それぞれ。

感想文は評価されるために書くのではありません。まずはおもしろい本や好きな本と出会って、自分のそのときの気持ちを、素直に綴ってみてくださいね。

娘の作文に付き合いながら考えた、感想文のコツをこちらにまとめてみました

「つくしちゃんとおねえちゃん」

頭がよくて、ピアノも上手な優等生の4年生のお姉ちゃんがいる、まだちょっと幼くて甘えん坊な2年生のつくしちゃん。姉妹の日常が、つくしちゃんの視点から、5つの短いエピソードで綴られます。

チビだからと言って、重い荷物を持たせてくれないお姉ちゃんへのちっちゃな不満を描いた「いばりんぼう」。朝からノロノロして文句を言われながらも、結局お姉ちゃんがかばってくれる「あと5分」。運動の苦手なお姉ちゃんの影の努力を垣間見る「ドッジボール」。一生懸命に作った友だちへのプレゼントを渡せなかったお姉ちゃんの涙にふれる「なみだ」。友だちとお祭りに行くお姉ちゃんに、連れて行ってもらいたいつくしちゃんとのやりとりを描いた「ごめんなさい」。

ただの優等生ではなく、弱さも強さも内在するお姉ちゃん。そして、そのお姉ちゃんに対して、頭にきたり悔しかったり心配したり・・・でもやっぱり、その大きさに敵わない、かわいいつくしちゃん。どこにでもある日々に、ふたりの言葉にできない心模様が描かれていきます。

【どんなところがおすすめ?】

わが家の娘たちも、まさに、2年と4年。わたし自身も、妹とふたつ違いでした。どんなに仲がよくても友だちとは違う、そしてある意味、親よりもお互いを近くで感じ合う存在だと思います。

強いだけじゃない、頼りになるだけじゃない、弱さもあり、不器用でもあり、努力家でもあるお姉ちゃん。そのいろいろな面にふれながら、「お姉ちゃん」としても「人」としても、それとなしに感得していくつくしちゃん。よくある姉妹あるある、で終わらず、その向こうにある気持ちを描きます。

それぞれの立場から感じ、考えたり気づいたりするきっかけになりそうです。

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著者:いとうみく, 丹地陽子  福音館創作童話シリーズ  出版社 :福音館書店  72ページ  22×16cm

「ばあばにえがおをとどけてあげる」

ファーンは、ばあばが大好き。焼いてくれるケーキも、暖炉の上の飾りも、何よりばあばの笑顔が。けれど、そのばあばが、この頃、ようすがへんなのです・・・華やかだった部屋は色あせ、ばあばは元気がなく、笑わなくなってしまいました。お母さんは、「人生からよろこびが消えちゃったみたい」と言います。

「よろこびって?」とたずねるファーンに、「ひとのこころをしあわせにして、めをかがやかせるものよ」「そうよ、すばらしくすてきな、ワァーイ!よ」と。

そこで、ファーンは、よろこびを捕まえてばあばに届けようと、公園に出かけます。走りまわる犬、赤ちゃんの笑い声、キラキラ輝く水の流れ・・・よろこびはたくさん見つかりますが、どうしても捕まえることはできません。がっかりして何も持たずにばあばの家に向かったファーンでしたが・・・

小さな子でもできる、誰かをよろこばせる方法を伝える絵本。

【どんなところがおすすめ?】

コロナ禍でおじいちゃんおばあちゃんと会えない時期を過ごした子も多かったのではないでしょうか?それぞれ、電話で話したり、オンラインで対面したり、手紙を書いたり、できることをやってきたと思います。

主人公のファーンは4、5歳くらいかな。大きな絵本に鮮やかな絵とあふれる表情で、大好きな人をよろこばせるのに、特別なことはいらないということが、わかりやすく描かれます。

みんなは、どんなことをしたかな?みんななら、どんなことをしてあげるかな?

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著者:コーリン・アーヴェリス, イザベル・フォラス  レーベル :児童図書館・絵本の部屋  出版社 : 評論社  32ページ 24.1 x 0.8 x 29.6 cm

「すうがくでせかいをみるの」

うちのかぞくには、みんなそれぞれ好きなことがある。パパは絵を描くこと、ママは昆虫、お兄ちゃんは音楽。好きなことがあるっていいな、と思って、いろいろ試してみたけど、どれもピンとこない。でも、ひとつだけ、これだ!って思ったのが・・・すうがく!

町にかくれている数や形を見つけて、考えることが楽しい♪公園も、湖も、この世界は形でいっぱい。滑り台の曲線も、おかずの取り分けも、紙飛行機も・・・世界も頭の中も数学だらけの女の子のつぶやきから大きく世界を広げる絵本。

【どんなところがおすすめ?】

ーだれだって すきなことがあって、それぞれの やりかたで せかいを みてる・・・だから、すうがくで せかいをみるのも いいんじゃない?

好きなものを通して、世界を見る。

絵を描くことを通して、昆虫の研究を通して、音楽を通してー同じものでも、角度が違うと見える世界が違う!そう考えたら、この世界はなんて深くて広いんだろう。どこにでもレンズはあり、のぞく場所によって見えるものが違うなんて、ワクワクします。

「好き」を肯定し、「好き」を称え、「好き」の可能性を示します。

自分はどんなものを通して世界を見ているのか、見てみたいのか、向き合うのも楽しそうです。

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著者:ミゲル タンコ, 福本 友美子  レーベル : 海外秀作絵本  出版社 :ほるぷ出版

「おすしやさんにいらっしゃい!生きものが食べものになるまで」

手をつなぎ、肩を組み、商店街を歩く子どもたちが意気揚々と向かった先は、立派なカウンターのお寿司やさん。カウンターに並ぶ新鮮な魚を前に、テンションの上がる子どもたち。さあ、この魚たちを、お寿司にしていきましょう。まずは金目鯛、そして、アナゴ、イカ、と握られていきます。

海で泳いでいた姿から、まな板の上で細かく観察。子どもたちがさわったり、掴んだり・・・鱗を水に入れてみたり胃袋の中を調べてみたり、腸の中身を押し出してみたり、もちろん捌き方も丁寧に説明され、各部の役割や美味しい食べ方も挟みながら、臨場感たっぷりに魅せる写真絵本。

お皿に乗る小さなお寿司は、魚と人間の知恵の結晶。もちろん、最後は、こころからの「ごちそうさまでした」で締めくくります。

【どんなところがおすすめ?】

子どもたち、お寿司やさんの大将、魚たち。パッパッパと構図を切り替えながら、絵本のようなYouTubeのような漫画のような独特な構成が、好奇心を刺激します。

文章も手がけるいい笑顔の大将の、ほら、一緒におもしろがろうよ!という声が聞こえてきそう。どんな小さなことも大事に捉えて伝えたい!という食材やお寿司への愛も、ぎゅうぎゅうに詰まっています。

1匹1匹が命。手軽に食べている(まわる方ですが・・・)お寿司が海で泳いでいた魚だということは、小学生でも当たり前に知っていますが、命が食べものになる過程をつぶさに目の当たりにしたら、どんな感想が生まれるでしょう。

こちらで、岡田さん自らこの絵本について語っていました↓

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著者:おかだ だいすけ, 遠藤 宏  出版社 :岩崎書店 40ページ 22 x 28.6センチ

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2022年の課題図書、中学年の部は、こちらにあります。

青少年読書感想文全国コンクールの公式HPはこちらから→https://www.dokusyokansoubun.jp/books.html

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