【クリスマスの絵本】最初のクリスマス、降誕のものがたりの絵本 7冊

最初のクリスマスーーイエス・キリストの降誕の日を描いた絵本は、たくさんあります。

聖書に忠実な物語だけでなく、動物を主人公にしたり設定が現代だったり、大切なことを伝えるために、それぞれの作者が工夫を凝らします。

1 小さな子に伝える「クリスマスおめでとう」

とおい むかしの あるばんのことー、
まっくらな よぞらに おおきな ほしが ひかりました。

てんしが あらわれて いいました。
「みんなが まっていた うれしいことが おこりました。
みにいきましょう」

ー本文 冒頭より

なんだろう?と天使について行く羊たち。大きな星が教えてくれたところは馬小屋で、中ではマリアさまが男の子の赤ちゃんをだいていました。すやすや眠るかわいい赤ちゃんの名前は、イエスさま。みんなが待っていた、うれしいことは、イエスさまのお誕生でした。

天使と羊たちは、このうれしい知らせをみんなに伝えにでかけます。羊はにわとりに、にわとりはひよこたちに、雲に、花に、森に・・・「イエスさまのおたんじょう おめでとう!」が広がっていき、最後には子どもたちがツリーのもとでお祝いする「クリスマスおめでとう!」とつながります。

幼稚園の壁面飾りのような、くっきりとした色合いの、素朴な貼り絵で描かれる絵は、ひたすらに朗らかでわかりやすく親しみやすく、この出来事の「うれしさ」を伝えます。(3歳くらいから)

created by Rinker
著者: 樋口通子  出版社: こぐま社

2 かわいいけれど実力派「クリスマスってなあに」

むかしむかしです。
くらい よるです。ベツレヘムの ひとたちは、
すべて ねむって いました。
おとなも こどもも、おもちゃの くまも。
おきて いるのは、ひつじの ばんを して いる
ひつじかいたちだけです。
「なんて しずかな よるだろう。」
ひつじかいたちは、くさの うえを ふきすぎて
いく かぜの おとに みみを すまして いました。

ー本文 冒頭より

夜の空がひるまのように明るくなり、羊飼いたちがびっくりしていると、ひとりの天使があらわれ、たった今ベツレヘムの馬小屋であかんぼうが生まれたこと、そのあかんぼうは、すべての人のうえに幸せを運んでくれる神さまの子どもだということを告げました。

天使たちのよろこびの歌声が終わり、もとの空にもどると、星に導かれ羊飼いたちは歩きだします。ベツレヘムへ。ベツレヘムへ。そして、星のとまった小さなみすぼらしい馬小屋で、ヨセフとマリアに見守られて飼い葉桶で眠るあかんぼうに会いました。同じころ、3人のえらい学者たちも、星に導かれてラクダにゆられていて・・・

小さな子むけの絵本のイメージのあるブルーナですが、いえいえ、しっかりと聖書にそって大切なことの描かれたクリスマス物語です。けれど、ところどころのやさしく愛らしい場面や表現がブルーナらしく、天使やヨゼフやマリアや赤ちゃんのイエスさまは、この上なくかわいい!

小さな子からおとなまで広く愛される、ブルーナらしいクリスマス物語になっています。(3、4歳くらいから)

created by Rinker
著者: D・ブルーナ, 舟崎 靖子  講談社の翻訳絵本

横長の構図が物語にいきていて、とってもよいのですが、こちらの可愛さも捨てがたい・・・お話は、より簡潔になっているので、もう少し小さい子からたのしめます。

created by Rinker
著者: ディック・ブルーナ, ふなざき やすこ  講談社の翻訳絵本  出版社: 講談社

3 シンプルに誠実に美しく「ほしのひかったそのばんに」

むかしむかし いまから 2せんねんも まえのこと
ユダヤのくには ローマのこうていに
おさめられて いました
そのユダヤのくにの おうさまも わるいひとで
ひとびとを くるしめていました
ユダヤのくにの ひとびとは ふしあわせでしたが
いっしょうけんめいに はたらいていました

ー本文 冒頭より

年取ったロバが、野原の道をとぼとぼと歩いていると、ふたり連れの旅人ーヨセフとマリアに出会いました。皇帝の言いつけで、故郷のベツレヘムの町に行かなくてはいけないのです。ロバとふたりは道連れになりベツレヘムを目指します。そして、人であふれる町では宿がとれず、馬小屋へ泊まることになりました。

世を憂いていた羊飼いたちは、大きな星が、「せかいになにかふしぎなことがおこるかのように」眩く光り、清らかな天使の声が空から降るを見て、馬小屋へ向かいます。その頃、救いの星を目指して旅をしていた3人の博士たちも、たどり着きます。そこでみんなが目にしたのは・・・

美しい赤い表紙に描かれるのは、大きな羽の金色の天使とタイトルのみ。天使の指し示すのは、まっすぐなベツレヘムへの旅路でしょう。場面ごとに変わる美しい色使いが道筋を刻みます。

細かなことも描きながら、わかりやすいシンプルな言葉で紡がれます。「クリスマス」という言葉は出てきませんが、この赤ちゃんがイエス・キリストだということ、それから2000年以上たった今もその誕生をお祝いし、世界中の人が幸せを祈ることが語られ、物語は結ばれます。(4歳くらいから)

created by Rinker
著者: 和田義臣, 司修  出版社: こぐま社

4 スケールの大きな物語「クリスマスのものがたり」

およそ2000年ちかいむかし のこと、ユダヤのくにの小さなまち、ナザレに、マリヤというむすめがいました。マリヤは、だいくのヨセフのいいなずけでした。

あるはれた日、天使ガブリエルがマリヤにあゆみより、こういいました。「おめでとう、マリヤよ。わたしは神ことばをつたえにきた。あなたは、おとこの子をうむだろう。その子を、イエスとなづけよ。その子は、大いなるものとなり、やがてはひとびとの救い主となるだろう」


ー本文 冒頭より

心の素直なマリヤは、その言葉を信じました。その頃、ローマ皇帝アウグストが、国の人口を調べるために人々に故郷に帰り届出をするように命令を出し、ヨセフとマリヤも遠くベツレヘムへ向かいましたが、町についた時にはもう人でいっぱいで泊まる場所がありません。ようやく見つけた馬小屋で、その夜、マリヤは男の子を産みました。

同じ夜、羊の番をしていた羊飼たちのところに天使があゆみより、救い主が生まれたことを告げ、歌声をひびませました。ベツレヘムへ向かった羊飼いたちは、馬小屋の飼い葉桶に眠る幼子を目にしました。

その頃、救い主の誕生を告げる大きな星に導かれてエルサレムにやってきた三人の賢者たちも馬小屋にたどり着き、香と薬と金の贈り物を捧げました。しかし、救い主の誕生がユダヤの王ヘデロに知られ・・・

受胎告知から始まり、エジプトへの逃避を経てナザレへの帰還まで、スケールの大きな物語で、どの場面も迫力があります。出来事だけでなく、マリヤの心の伝わる描写になっています。思いをこめて丁寧に描かれた、ホフマンの遺作です。(5、6歳くらいから)

created by Rinker
著者: フェリクス・ホフマン, しょうのこうきち  世界傑作絵本シリーズ  出版社: 福音館書店

5 あたたかな気持ちがあふれる「うまやのクリスマス」

むかし むかし
あたたかい うまやのなかで

うしは ひくくなき
ろばは たかくなく
うまの あしぶみと
かちくの いきがきこえる

しずかに ひがおち
ひるまが とじる
いちばんぼしが ひときわ あかるい

ー本文 冒頭より

誰もいない馬小屋からはじまり、小さな詩のように紡がれる物語。

夕暮れに、疲れてたどり着いたふたりを、あたたかく歓迎する厩の動物たち。星に導かれる羊飼い。牛に見守られ、ろばのいななきを聞き、博士たちに祈られ、寝床も持たずに馬桶の中で小さな寝息をたてる幼子

ささやき合うようにやさしい視線をかわす動物たちは、この大切な出来事の意味を知っているのでしょうか。それとも、目の前で起きたひとつの命の誕生を、ただ受け入れ、祝福しているのでしょうか。

はじめてのクリスマスがどんな日だったのか、こんな風に、小さな子に伝えたいです。(3歳くらいから)

created by Rinker
著者: マーガレット・ワイズ・ブラウン, バーバラ・クーニー 出版社: 童話館出版

6 どうぶつたちのクリスマス

むかし むかし 2000ねんまえの
ある ふゆの よるの ことです。
ほしが ひとつ、はるか とおくに
たいへん あかるく かがやきました。
そして ふゆの あいだ ねむっている
いきものを おこしました。

ー本文 冒頭より

明るい星あかりは、「ベツレヘム!」と歌いながら、山べりでまどろんでいたクマを起こし、アナグマの土穴のドアをひらき、沼地のカメへ、干し草で眠るリスへ、逆さにぶらさがるコウモリへ、雪の下で眠るたくさんの生き物たちへ、光を届けていきます。

目覚めた動物たちは、星の歌に導かれ、ベツレヘムへむかいました。たどり着いた飼い葉桶には、生まれたばかりの赤ちゃんイエスさま。そしてそのまわりでは、ライオンやキリン、ネコやカラス、たくさんの動物たちが見守っていました・・・

星が動物を目覚めさせる様子が、詩のように美しく描写されています。そして、イエスさまを囲む動物たちの表情はとても優しくおだやかで、馬小屋があたたかな空気に満たされています。

降誕のこまかな物語はありませんが、冬眠中の動物たちまでお祝いにやってくるくらい、とびきりの出来事だったと、小さな子にもその神秘が届くと思います。(3歳くらいから)

created by Rinker
著者: ノーマ・ファーバー, バーバラ・クーニー  出版社: 日本基督教団出版局

7 馬小屋のクリスマス

あるところに ひとりのこどもが いました。こどもは おかあさんのひざの上で、「クリスマスのことを おしえて」と いいました。そこで、おかあさんは 馬小屋のクリスマスのおはなしを はじめました。ずっとむかしの とおいくにのおはなしでしたが、その子には すぐちかくの 馬小屋でおきたことのように思えました。

それは こんなおはなしです。

ー本文 冒頭より

リンドグレーンの描いた、クリスマスの一夜。

文章はおかあさんの語り。絵は子どもが浮かべた光景でしょうか。

現代を舞台に、天使はでてこないし特別なことは何も起きません。電線のはしる農村を歩く若い夫婦、馬小屋は簡素ながら使いやすく整い、持ち主の羊飼いたちは気のよさそうなおじさんたち。

けれど、その出来事の尊さや、感じるあたたかさはすこしも損なわれることはなく、むしろ、身近で手でふれることができるからこそ、すべてを理解できるように、思います。

おかあさんから子どもへ、ひざの上で語られるクリスマス物語は、クリスマスの夜の特別な奇跡を伝えるだけでなく、誕生そのものを祝福するような、歓びがこもり。誕生に無縁で存在することのない、すべての人に、やさしい、やさしい気持ちを届けます。(5歳くらいから)

* こちらで、もう少しくわしく紹介しています ↑

created by Rinker
著者: アストリッド・リンドグレーン, ラーシュ・クリンティング  出版社: ラトルズ

・       ・      ・

いかがでしたか?

降誕の物語は、クリスマスのはじまり。ただの行事とは違うお祝いの意味を、他教徒でも知っておきたいですね。華やかな季節の中で、1年に1度でも、振り返りたい絵本たちです。

クリスマスの絵本、他にもたくさん紹介しています。カテゴリーの「クリスマスの本」か、下のリンクからもご覧いただけます。

・・・・・・

生誕の場面の飾りものも、いろいろなものが販売されていますね。細やかなドイツの職人仕事はすてきです。うちのは、もっと簡素ですが・・・クリスマスがどんな日かを心に留めるためにも、ささやかなものでも、飾っていたいです。

タイトルとURLをコピーしました