たくさんの同年代のお友だちに、やさしい先生、あたらしい体験。たのしいことが待っていますが、その前に試練がひとつ・・・今までずっと一緒にいた、お母さんと離れなければなりません。
この日を待ちに待っていた子でも、いざその時になると、怯んでしまうこともあります。
子どもも、つらい。それを毎日受け止める、母もつらい。
楽しげに登園する子を横目に、「なんで・・・」と自分や子どもを責めてしまったり、経験した人しかわからない、モヤモヤとした日々。
そんな時期に、親子で読むことで、おだやかな気持ちになるような絵本を3冊選びました。特効薬にはならないけれど、気持ちがらくになれば、それでよし。
そうしているうちに、そんな時間もあっという間に過ぎて、貴重な思い出になっていると思います。
1 やっぱりママのところがいちばんなの 「リックのおへや」
カンガルーのリックは、まだ、ママのポケットからでたことがありませんでしたが、ある日、コロンと落ちてしまいます。
さっそく、鼻先を飛ぶちょうちょと遊ぶリック。
そこへ、友だちが通りかかります。リックは、みんなのお部屋を見にいく、という友だちと一緒に、遊びに行きました。
くまのクウの部屋は、ほら穴の中で、大きなふかふかなベッドがありました。うさぎのピンの部屋は丘の上の木の根もとで、眺めがすばらしい、大きな窓がありました。ことりのルルの部屋は高い木のアパートで、なかまとおしゃべりができました。
いい天気で、気持ちがよくて、外の世界を満喫したリックは、迎えにきたママのポケットにはいると・・・
・ ・ ・
「どんなに外の世界がたのしくても、ママのところがいちばん!」そんなシンプルな子どもの気持ちを尊ぶ、あたたかな絵本です。
まだまだ小さな人たちの、その今の気持ちを、大切に味わえたらいいなあと、思います。
2 それぞれの飛び方で 「ぼくだってとべるんだ」
ちいさなペンギンが、空を見上げていいました。「ぼくも はやく おそらを とびたいな」
でも、かもめには「ペンギンは飛ばないの!」って言われるし、どんなに羽をパタパタする練習をしても、氷の丘の上から走ってすべっても、だめ・・・パパも、「ペンギンは飛ばないんだよ」と、言うのです。
あきらめられずに、一生懸命、練習をかさねるちいさなペンギン。ところが、うっかりすべりすぎて、海に落ちてしまいます。はじめての海。どこまでも広く、暗い、海の底へ。そこへ、パパが泳いできて・・・
ちいさなペンギンは、パパにつかまれ、はじめて海の中を泳ぎました。上へびゅーん。下へびゅーん。
そう、ペンギンは、海の中を飛ぶんですね。
・ ・ ・
「ほらね、ぼくだって とべるんだ」
そう胸を張るちいさなペンギンの姿に、笑顔になる子どもたちは、知っています。わたしはわたしだっていうこと。できることがいっぱいあるっていこと。
あなたはあなたの飛び方がある。いつか見つかる、それでいい。
3 ちゃんとつながっているよ 「おかあさんは、なにしてる?」
月曜日になると、みんなは学校や幼稚園に行きます。でも、みんなが家にいないあいだ、お母さんは、なにをしているのでしょう? そんな、お母さんの時間をのぞける絵本。作者は、こぐまのくんちゃんシリーズの、ドロシー・マリノです。
ジョセフが幼稚園で絵をかいているとき、ジョセフのお母さんは、戸棚にペンキをぬっています。トミーがみんなの前で教科書を読んでいるとき、トミーのお母さんは幼稚園の子どもたちに絵本を読んでいます。ジェーンがお人形の世話をしているとき、お母さんは弟の世話をしています。ボビーがお店屋さんごっこをしているとき、お母さんはお店のレジで働いています。
左のページに子どものようす、右のページにお母さんのようすが描かれます。
自分の世界と同じように、お母さんの世界があること。どちらも同じように流れ、大切なこと。そして、ちゃんとつながっていて、また重なること。
知ると、うれしい。知ると、安心。
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いかがでしたか?
うちのお姉ちゃんも、幼稚園に入学したときには、泣いて泣いて・・・私は、赤ちゃんだった妹を抱っこして、1ヶ月間、幼稚園の門から出られずに園庭で過ごしていました。
もやもやした気持ちに、絵本が寄り添ってくれ、少し気が休まりました。今となれば、なんであんなに悩んだろうと思いますが、そんな時間もどうぞ大切に過ごしてくださいね。
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