【1年生におすすめの本】はじめて自分で読む童話 11冊

1年生になると、学校で、朝の読書の時間がはじまります。

もちろん、絵本もOK。小学校の図書室にも、絵本はいっぱい並んでいます。

最初は、無理をせず、何度も読んだなじみのある絵本を。そして、少しずつ、童話も手にして、その先に続く、豊かな読書の世界へと歩み出してほしいです。

その、大切な一歩になる、幼年童話を11冊選びました。

はじめて自分で読む童話

・文字が大きく
・文章のボリュームが絵本と同程度
・ほとんどのページに挿絵あり
・男の子女の子どちらでもたのしい
・自分で読む童話ならではのおもしろさがある

ここでは、上記のポイントで、絵本から童話へ自然にすすむことのできる童話を選んでいます。

字を習えば、極端に言えば、ふりがながあればどんな本でも読めてしまうのですが、内容やレベルが、その子にあっているかどうかが大切です。冊数をたくさん読むのもよいですが、何度も開きたくなる、物語の向こうまで丸ごと味わえる「今のその子にぴったりの本」と出会えるといいなと思います。

 

【ステップ1】

文字の大きさは、このくらい。物語はおとなが読み聞かせたら、10分くらいのボリュームで、初めての自分読みでも、無理なく最後までたのしみやすいです。ほとんどがひらがなですが、中には、1年生で習う漢字の出てくるものもあります。

1 おばけのアッチシリーズ

レストランに住んでいる小さなおばけの男の子、アッチは、くいしんぼうで、おいしいものを食べるのも作るのも好き。なかよしの人間の女の子えっちゃん、のらねこのボン、それに、ふたごのいたずらねずみのチとキ・・・ケンカもするけど仲のいい友だちに囲まれて、しょっちゅう騒ぎが起こります。

おひさま色のながーいスパゲッティ、こわい顔になっちゃうカレー、お月さままで飛んでいくオムレツ。アッチの作る料理は、いつも少し変わっています。そして、誰かのために、何かのために一生懸命作る気持ちも、たっぷり混ぜこんで、あったかい。

今年40周年。今も続くこのシリーズに、どれだけの子が魅了されてきたことか!お茶目で無邪気な登場人物、心に残る特別スパイスのかかった料理、いつか、思い出の味になりますよ。

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角野栄子, 佐々木洋子 (ポプラ社の小さな童話) ポプラ社

2 つりばしゆらゆら

山に住むきつねの子は、谷川にかかった長い吊り橋を渡った向こう側に、同じ年くらいのきつねの女の子がいると聞き、遊びに行きたいな、と思います。友だちたちは、もう少し大きくなってからにしようと言うのですが、「今のぼくくらいの、小さな子と遊びたいな」と思ったきつねの子は、次の朝、吊り橋の前に立ちました。初日は1歩、次の日は2歩。1歩ずつ進んで、ようやく橋のまん中までたどり着き・・・

出来事だけではなく、「きもち」を読み進める幼年童話です。気持ちを想像し、先を、物語を想像しながら、読み進める・・・読書の醍醐味を、こんな字の大きな本で、味わえるなんて!

実は、きつねの子は、向こう側にいる女の子にまだ会えずに、この本は終わります。これはこれで、余韻や想像の余地を残しながら完成しているのですが、シリーズにもなっているので、気になる方はぜひ、続きもどうぞ♪

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森山京, 土田義晴 あかね幼年どうわ あかね書房

3 へんてこもりにいこうよ

そらいろようちえんの裏にある「へんてこもり」。ある日、休み時間に幼稚園を抜け出し、森の中でしりとり遊びをしていた4人の子どもたち。「ま」のつく言葉が思い浮かばなかったブンタが、苦し紛れに「まるぼ!」と叫ぶと、木の陰からへんてこな生き物が・・・

へんてこなルールのしりとりをしながら、次々起こるへんてこな出来事。でも1年生なら、ちゃんとルールがわかるはず。「あれ?」と思ったら、少し戻ったり、何度も読み返したりできるのも、自分で読むことのいいところ。「なるほど!」って合点がいくと、おもしろさも倍増です。

たかどのほうこさんは、絵本から高学年向けまで、たくさんのおもしろい話を書いています。この「へんてこもり」も何冊もシリーズがありますよ。

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高楼方子 へんてこもりのはなし 偕成社

4 どろんここぶた

お百姓さんのうちのぶた小屋に住むこぶたが何よりも好きなのは、やわらかいどろんこの中に、すわったままゆっくりとしずんでいくことでした。お百姓さんの夫婦は、とてもこぶたをかわいがっていて、世界中で一番かわいいと、思っていました。けれど、ある日、大掃除をはじめた奥さんが、ぶた小屋の前のどろんこも、掃除機で吸いとってしまいます。怒ったこぶたは、家を飛び出して・・・

豊かな表情の挿絵が、絵本のようにたくさんあるので、興味を持ちやすい。どろんこにずずずーっとしずむ気持ちよさ、何をしたって愛されている感、こぶたに自分を重ねながら読んで、大満足です。

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アーノルド・ローベル, 岸田衿子 ミセスこどもの本 文化出版局

5 カレーライスのすきなペンギン

ぼくは、お父さんの作るからいカレーが大好き。でも、今日は、お母さんが仕事で遅くて3人で食べられないから、せっかくのカレーの晩ご飯もつまらない。かなしい気分で水のはいったコップを見ていたら、氷の上に、黒い小さなゴミがあった。いや、ゴミじゃない、もしかして、ペンギン・・・?!

あり得ないこともあり得るのが、本の世界。可笑しくて、ちょっと切ない、このペンギンとの出会いは、初めての自分だけの秘密になるかもしれません。

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落合恵子,長新太 幼年童話セレクション フレーベル館

6 きえた犬のえ

黄色で描いた犬の絵がなくなった!関係者は、モデルになった犬のファングと、赤の好きな弟のハリー。さあ、絵はどこに消えたのでしょうか・・・

事件はすべて子どもの世界で起こり、解決の糸口も子どもの目線。夜になると荒らされるゴミ箱、なくなってしまった切手のありか、かぎの場所を示す手紙・・・どの事件も、お話の中に、手がかりがかくれていて、自分で推理するたのしさもあります。

名探偵の条件、それは、「クール」「トレンチコート」「独特の趣味、嗜好」。若干9歳にして、歴代の名探偵の素質を一手に引き継いだネートの活躍を描いたこのシリーズは、最年少向けの本格推理小説。読み出したらとまらない!

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マージョリー・ワインマン・シャーマット, マーク・シーモント レーベル 大日本図書

 

 

【ステップ2】

1年生童話

文字の大きさは、このくらい。2年生で習う程度の漢字まで出てきますが、ふりがなはあります(漢字に親しむためにも少しずつ漢字のある本に慣れていくとよいと思います)。物語も少し長くなり、描かれる出来事も広く深くなっていきます。

1、2は、上の写真より少し字が大きいです。

1 まほうのじどうはんばいき

学校の帰り道にみつけた、見なれない自動販売機。にじ色にぬられていて、ボタンはひとつしかなく、お金をいれる穴もなく、「あなたのみかた」と書かれています。迷ったすえに、思いきってボタンを押したぼく。出てきたのは・・・

ほしいものがなんでも出てくる自動販売機なんて、子どものロマン。想像するだけで、ワクワクしちゃうだろうな。けれど、その先には、どんな結末がまっているのか、少し怖くもありますよね。

決してお説教くさくなく、でも少し考えさせられて、合点がいく。こんなに短いおはなしなのに、きれいにまとまって、すっきりとした気持ちで読み終えられます。

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やまだともこ, 伊東美貴 金の星社

2 キャベたまたんてい なぞのゆうかいじけん

キャベツビルに住む、ゆで卵が好きなキャベたまたんてい。町のあちこちで、野菜の子どもたちがさらわれる事件が発生している中、今度はじゃがいもの坊やの誘拐未遂が!さっそく現場に向かったキャベたまたんていたちが見つけたのは、犯人が落としていったと思われる、黄色い粉のはいった袋。これは一体・・・

事件を解くカギをちりばめながら、テンポよく進む物語。野菜たちの特性も活かしたキャラ設定といい、ところどころにあるギャグ展開といい、ある意味、おとなも一緒にたのしめます。

23年前から、ほぼ毎年1冊、今も続くシリーズですが、とくに、初期の頃の、みんなの大好きな食べものが事件のモチーフになっているものがおもしろいと思います。

 

3 「たんたのたんけん」「たんたのたんてい」

たんたの誕生日に舞いこんだ、白い封筒。中には、ふしぎな絵や記号の書かれた地図がはいっていました。探検に持っていくものをそろえて、準備万端で出発。さて、地図の先にあったのは・・・?ずっと一緒についてくる、ひょうの子は・・・?「たんたのたんけん」

ある日曜日に、いつものように郵便受けに新聞をとりにいった、たんた。けれど、そこにあったのは、新聞ではなく何かのチューブでした。新聞はどこに?チューブはだれの?手がかりをたどっていくと、あっちでもこっちでも、とりかえっこが起きていて・・・「たんたのたんてい」

ぐりとぐらで子どもたちにおなじみのコンビが描く、冒険物語と探偵物語。子どもの身近な世界を舞台に、オチもかわいいけど、謎はなかなか本格的です。見返しが地図になっているのも、ワクワク。何度も道をたどりたくなります。

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中川李枝子, 山脇百合子 新しい日本の幼年童話 出版社 学研プラス
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中川李枝子, 山脇百合子 新しい日本の幼年童話 出版社 学研プラス

4 ポンちゃんはお金もち

近所の公園に移動遊園地がきているというのに、コータは部屋で勉強をしなければいけません。テストの点が悪くて、お母さんにそう言いつけられたのです。ふてくされたコータが、ふと窓をみると、知らない男の子が立っていました。ポンちゃんと名乗り、お金ならたくさんあるから一緒に行こうというその子について行くと・・・

10円玉ばかりをポケットにつめて、なんでも買ってくれるポンちゃんは、一体、何ものなのでしょう。不思議と現実。ポンちゃんの謎と、コータの気持ちと、お母さんの思い出が、味わい深い物語を織りなします。幼年童話の枠を超えたおもしろさ。始まりと終わりの、ポンちゃんのモノローグも、ちょっといいね。

初めて自分で本を読む子に向けた、こぐま社の「どんどんぶんこ」の中の1冊です。

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たかどのほうこ /こぐまのどんどんぶんこ /こぐま社

5 パンツはながれる

町を流れるあたたかな小さな川で洗濯をした帰りのおばあさん。橋でつまづいて、おじいさんの大事にしているパンツを川に落としてしまいます。すいすい流れていくパンツを、一生懸命追いかけるおばあさん。しかし、追いついたと思ったら遠ざかり・・・自転車のお兄さんに頼んでも、パトカーのおまわりさんに頼んでも、なだめてもすかしても、怒っても、まるでおちょくるようにパンツは逃げていきます。そのうちにテレビの臨時ニュースも流れる事態になり、大掛かりな作戦が決行されることに・・・

一枚のパンツ(しかもおじいさんので、しかもちょっとオシャレ)をめぐる大騒動。パンツに振り回される、大まじめでのどかな人たちが、可笑しくて可笑しくて。最後まで感情の描かれないパンツが、まさかこんなに爽やかな気持ちを残してくれるとは!

福音館書店の低学年向けの「ランドセルブックス」の中の1冊です。絵本より少し小さく、童話より少し薄く、ランドセルに入れるのにぴったり。物語、昔話、ノンフィクション、科学などバリエーション豊富で、いろいろな子の好みに応えてくれるシリーズです。

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林正博, 殿内真帆 /ランドセルブックス /福音館書店

 

いかがでしたか?

1年生向け、と紹介しましたが、2年生でも3年生でも、もちろんOK。おとなが読んだっておもしろいですよ♪

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こちらでも、低学年むけの児童書を紹介しています 

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読んだら、すごくかんたんなものでいいので、記録をつけよう♪

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