たんぽぽやシロツメクサで花冠を作り、ぺんぺん草を鳴らし、オオバコで相撲をとり、貧乏草を飛ばし、オドリコソウやツツジを吸い、オシロイバナの種を集めた子ども時代。
おとなになり、今も同じように足もとにある草花に、目をとめることが少なくなっていきました。
子育ては、子どもを通して世界を見ることのできる、つかの間の時間。
この機会に、もう一度、野の草花と仲よくなり、子育てだけでなく、その後の時間も豊かにふくらませましょう。おとなならではの楽しみも、見つかるかもしれません。
vol.2は、子どもに関わる人だけでなく、草花に興味をもつおとなの人にも広く楽しんでもらえる草花案内の本4冊を紹介します。
vol.1の親子でたのしむ草花の絵本はこちら ↑
1 お母さんにおすすめ、草花案内の本
「子どもと一緒に覚えたい 道草の名前」
雑草とか、野の草花とか、いろいろな呼び名があるけれど、「道草」っていいなあと思います。
繊細なボタニカルアートとわかりやすい写真、学術的な視点とエッセイと知識と雑学。田舎でも都会でも、よく見かける33の草花のことが、これ1冊で、まるで昔からの知り合いのように、よくわかります。
スミレの蜜の秘密。ホトケノザの美味しさ。四つ葉のクローバーの増やし方。ネジバナの向き。イヌタデのおままごと、くっつき虫の戦略。ツユクサの繁殖力。
たくさんの種類の載っている本もいいけれど、33の道草と、こんな風に知り合えたら、十分。読み物として楽しみ、図鑑のように知識を得、自然の奥深さに触れ、子どもに話したくなる、子どもと探しに出かけたくなる、そんな本です。
装丁も美しいシリーズで野鳥、毒生物、貝殻があり、そろえて本棚に並べれば、人生を豊かにしてくれるに違いありません。
2 散歩のお供にポケット図鑑
「散歩しながら子どもに教えてあげられる草花図鑑」
私は、昔から、野の草花が好きで、散歩のときに持ち歩けるハンドブックも、歴代何冊も持っています。よりよいものを、常に求めているのですが、種類、探しやすさ、解説・・・なかなか、これで決まり!というものには出会えません。
そんな私の、今の愛用が、この図鑑。
まさにポケットにもはいる、ほぼポストカードサイズ。インデックスは、季節順の中で色別。296種類。野にある状態とアップの写真。端的な解説。さらに「子どもに教えてあげられる」とあるように、危険があるものにはわかりやすくマークされ、観察のワンポイントや、五感で楽しむ術が示され、季節ごとのまとめがあり、遊び方も少々。
とても満足していて、しばらくは、他のものを探さなくていいと、思っています。
3 さらに身近に!台所にも野の花を
「食べる野草図鑑」
少し野の草花たちと仲よくなると、さらに欲が出るもので・・・もっと身近に、もっと暮らしに取り入れたい、ひいては、普段の食卓に並べたくなってくるものです。
この本では、食べる野草として、シロツメクサ、レンゲソウ、ヤブツバキ、タチツボスミレ、ギシギシ、ハコベ、ハルジオンなど、春夏秋と季節ごとに40近い身近な草花が紹介されています。摘み方、効用、おいしい食べ方に、レシピが載っています。
ヒルガオのお花をおひたしにできるって?!ドクダミやヒメジオンも天ぷらにできるって?!草花も料理も好きな人は、ワクワクせずにはいられません。
つくし、よもぎ、せり、あたりから始まった、私の食べるための摘み草も、この本のおかげで、ぺんぺん草やハコベをサラダに忍ばせ、カラスノエンドウをみれば天ぷらにしたくなるように、少しずつ、進歩していっています。
4 読んでたのしむ草花の本
「柳宗民の雑草ノオト」
「雑草」という名前の植物はなく、どれも、長い時間をかけて紡がれた命をそこに全うする、ひとつの生きもの。この本の著者の、園芸家、柳宗民さんは、道ばたの草花を、ガーデニングで丹誠こめて育てる美しい花と同じ植物として、愛しみ、向かい合います。
春、夏、秋、冬、季節ごとの「雑草」と呼ばれる草花にまつわる、この、60編のエッセイは、通りすがりではなく、雑草とともに、生きる人の文章。
エノコログサを、美しいと思い、コブナグサを、風情があるとかんじる。ハコベをみて、ヨーロッパへ気持ちを運ぶ。誰も気に留めないような小さな草花ひとつから、古今東西へ思いを馳せる。草花同士の親戚関係、他人のそら似、その出生まで詳しく、その深い知識とこまやかな観察から語られる、植物学的な解説から、歳時記のような情緒まで。
この、文庫本1冊で、ずいぶんと雑草の感じかたが、かわります。
さあ、さあ、気持ちのいい季節。
散歩に出かけましょ♪
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