【読書感想文】読んで紹介!課題図書 低学年の部【2021】

2021年度の課題図書を実際に読んでみました。

どれを読もうかな・・・夏の読書の本選びに迷ったら、お役立てください。

感想文を書くことには賛否両論ありますが、好きなものについて考えることや、話すことや、書くことや、紹介することは、本来たのしいことのはず。

読むのは、みんな。感想は、それぞれ。まずはおもしろい本や好きな本と出会って、自分のそのときの気持ちを、素直に綴ってみてくださいね。

娘の作文に付き合いながら考えた、感想文のコツをこちらにまとめてみました

「あなふさぎのジグモンタ」

ジグモのジグモンタは「あなふさぎや」をしています。先祖代々続く、洋服にあいてしまった穴をふさぐ仕事です。穴に合う色になるまで、草木で何度も糸を染め、8本の手足をすべて使って丁寧に仕上げると、どこに穴があいていたかなんて誰が見てもわからないくらい、きれいに仕上がります。

ジグモンタは、この仕事が好きでした。けれど、最近、様子が変わってきました。古い服を直して着るよりも、新しい流行の服を買ったほうがいいと、お客さんが言うのです。

「あなふさぎなんて、もう、役にたたないんだ・・・」店を休んで森を歩いていたジグモンタは、わんぱく兄弟を育てるふくろうのお母さんに出会い、穴のあいた毛布を直すことになります。数日後、急ごしらえで穴のあとが目立つのでやり直したいと申し出たジグモンタに、ふくろう母さんは、これが思い出だと話します。

【どんなところがおすすめ?】

ふくろう母さんの話をきいて、ジグモンタがはじめたのは、元どおりに直すのではなく、記憶を紡いで新しい命を吹き込む、あたらしい「あなふさぎ」。

ものを大切に使うことの先にあること。
大切なものを長く使う、ということの本質。

時間や記憶や思い出が、ものの価値となっていくー なんて言うと難しいですが、「ふさいだあながすきになる。あなあくまえよりすきになる」というジグモンタの歌が、すべてをあらわしているようです。

洋服だけでなく、絵本、おもちゃ、ぬいぐるみ、器・・・自分の大切にしているものと置きかえてみたらわかりやすいかな。実際に親子で直してみたりしても、おもしろそうです。

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とみながまい, たかおゆうこ /ひさかたチャイルド

「みずをくむプリンセス」

アフリカの、ある少女の1日を描いた絵本です。

世界中の少女がそうであるように、この少女も、プリンセス。空が王国。おひさまも草も風も、思うがまま。けれど、水だけは、思い通りにはできない。毎日、朝、暗いうちに起き、お母さんと一緒に何時間もかけて川へ水を汲みに行きます。泥のまざった茶色の水。瓶ふたつ分の水。日暮れに家に戻り、沸かし、料理をし、洗濯をして、1杯の水を飲み、夢を見て眠ります。また、次の朝、水をくみに行くために・・・

ジョージーという、今はモデルとしても活躍する女性の、子どもの頃の話をもとに書かれた絵本です。ジョージーは、その体験から、清潔で安全な水を手に入れることのできる環境を作る活動もしているそうで、巻末には、水をめぐる世界の状況が写真つきで解説されています。

【どんなところがおすすめ?】

周りを、世界を、よりよくするには、一人ひとりの想像力が必要で、想像するには、まず、知ることが必要です。

私たちには当たり前にある「水」が、ある場所に住む人たちにはそうでない、ということ。知識として知っているおとなも、子どもの目線で描かれた絵本に心動かされます。

素直な感想が出てきやすく、もし・・・や、自分だったら・・・を考えやすいです。なんで?どうして?聞きたいこともたくさん出てくるでしょう。親子で読んで、話せば、よりふくらむと思います。

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スーザン・ヴァーデ, ピーター・H・レイノルズ /さ・え・ら書房

「どこからきたの?おべんとう」

学校の写生大会の、待ちに待ったお弁当の時間。わっぱのふたをあけると、おにぎり、卵焼き、アジフライ、タクアン、etc … お弁当袋の中には、お母さんが書いた小さな本も一緒に入っていました。そこには、今日のお弁当のおかずのひとつひとつが、お弁当箱にはいるまでの、長い長い道のりが書かれていました。

たとえば、卵焼きなら、メスのにわとりが朝に卵を生むところからはじまり、養鶏場の人のいくつもの仕事、運送、スーパーでの工程をへて、お母さんが買い、調理し、お弁当箱に詰められるようにするまで。たとえば、プチトマトは、家族で苗を買い、お世話をして、育つまで。バナナは・・・たくあんは・・・お弁当を入れる袋は・・・

【どんなところがおすすめ?】

読み聞かせる物語ではなく、学ぶ絵本です。いや、本当は、長い物語がつまっているのですけれど。

身の回りにあふれる「もの」の過程が見えにくい現代。お弁当ひとつ、洋服ひとつ、ランドセルの中身ひとつとっても、そこには、とてもたくさんの人が関わり、たくさんの時間をかけ、あなたのもとにたどりついているということを伝えます。

我が家の娘たちには、同じように書いてみて欲しいと、せがまれました。本を読んで、そこから、家族で取り組む自由研究まで発展させてもおもしろいかな、と思います。

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鈴木 まもる 出版社 /金の星社

「そのときがくるくる」

たくまは、学校が大好き。先生はやさしいし、友だちもいて、勉強だってまあまあたのしい。みんなで食べる給食の時間はとくに好きなのだけど、あの、ぐじゅぐじゅした苦いやつが出る日だけは、学校にも行きたくなくなります。

夏休みが来て、たくまは、田舎のおじいちゃんおばあちゃんの家に、しばらくひとりで泊まることになります。たくさん遊ぶから、おなかペコペコ。おじいちゃんは畑で野菜を作っていて、食卓には、おばあちゃんの自慢の野菜料理がたくさん並びます。どれもおいしいけれど、やっぱり、あれも入っていて・・・

苦手な食べものは、「そのとき」が来るのを待とう、というおじいちゃん。畑を手伝ったり、みんなの話を聞いたり、おいしそうに食べる顔をみたり、料理を手伝ったり、仲間同士で励ましあったり・・・「そのとき」は近づいているかも??そう思うと、苦手もちょっと楽しくなります。

【どんなところがおすすめ?】

主人公は1年生。1年生が読むのにちょうどよい、字の大きな児童書です。テーマも、「苦手な給食」と身近で読みやすい。

昔のように、全部食べ終わるまで片付けられない・・・ということはなくなりましたが、それでも、苦手な食べものが出てくる日は、心のどこかにひっかかります。給食が楽しみだからこその、うらめしさ。

さわやかに終わる、元気のいいおはなしです。食べものの描写がおいしそうなのもいいな。気持ちがたくさん書かれているので、想像したり、考えたり、しやすいと思います。

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すずきみえ, くすはら順子 /文研出版

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2021年の課題図書、中学年の部は、こちらにあります。

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