想像してみてください。
小さな、花の女の子の世界。
花の名前は、みんなわかって、あいさつをするように、お庭をふらり。
テントウムシたちと、朝のおさんぽ。アリたちとは、松葉をつかって、かぞえっこ。
大きな落ち葉の上で、おひるねをして、おひざで眠ってしまった、マルハナバチを、そっとなでて。
風がそよいだら、スズランや、ホタルブクロの奏でる音に、耳をすます・・・
それから、カエルに、小川で泳ぎも、ならいたい!
きっと、それは、それは、おだやかな日々。
でも、それだけじゃ少し足りない・・・女の子の毎日を、満ち足りたものにするのに、大切なものが、ね。
フローラは、とても小さな女の子です。
たぶん、ブルーベリーの精。
小さな森のわきの、小さな野原で、ブルーベリーの木立のアーチのかかった扉のむこうのこけの屋根のおうちに、住んでいます。
花や虫や動物たちと、なかよし。
とてもおだやかな日々ですが、雨のふる日には、ふと、なんでもおしゃべりできる友だちがほしいな、と、思うこともあります。
そんな、ある、雨の日、ひとりで森にお散歩にでていたフローラが、こころぼそい気持ちで帰ってくると、ちょうど雨があがり、さっと光りがさしました。
もどってきたおなじみの色や音
そして、そのむこうで、待っていたのは・・・
・ ・ ・
作者は、自然の中にある、小さな命ー草花や虫や動物、それに妖精たちもーを優しい目で描き、ベスコフ賞を受賞したこともある、スウェーデンの絵本作家です。
描かれるどんな小さな草花にも、生き物にも、それぞれ1つずつ、きちんと命が宿っています。
苔むす森の、しっとりとした空気が気持ちいい、雨の日の出会いのおはなしです。
【この本のこと】
「フローラのにわ」
クリスティーナ・ディーグマン 作
ひしきあきらこ 訳 福音館書店
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、4歳くらいから。
自然や妖精の好きな子(おとなも!)に。
1本1本の草花もとても丁寧に描いてあるおかげで、フローネの暮らしを近くに感じられます。
派手なことは何も起きないけれど、まるで自分が小さな精になったように、自然そのものを楽しめる絵本です。
見返しは、たくさんの勿忘草が並び、そんなところまで、とっても素敵です。
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