【梅雨の絵本】あじさいとカタツムリの絵本 5冊+α

先日、小雨の中を歩いていると、あじさいの葉っぱにかたつむりがくっついていました。それを見た、小学1年生の娘・・・「あ!絵で見たことある!」

わたしの子どもの頃は、あたりまえの光景。雨降りの帰り道には、あちこちの道ばたのあじさいに寄り道して、かたつむり集めをしていたんだけどな。

アスファルトやコンクリートが増え、かたつむりが減っているそうです。かたつむり自体、昔のように、雨の日だからっていつでも見つけられるものではなくなりつつあります。あじさいにかたつむり・・・そんな6月の風物詩を絵本の中で探しました。

あめあめぱらん

あめあめ ぱらん
ぽつぽつ ぱらん

そらからなみだ?あめのみずたま。みずたま、まるい。まるいはボール。ボールはとぶよ・・・雨の日の、ぼんやりとけむった空気の中、ぽつぽつとつながるあどけない言葉。はっぱはみどり、みどりはかえる、かえるはうたう・・・子どもだけの思いつく連想ゲームは、最後は見上げる虹のところまで、自由にふわふわと広がります。

にじむようなやわらかな絵は、雨に包まれてかすむ、小さな子のひとり時間を描くのにぴったり。色とりどりのグラデーションのあじさいには、ちゃんとカタツムリもいますよ。

(1歳半くらいから)

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発売日:2014年05月 著者:木坂涼, 松成真理子 出版社:のら書店  ページ数:31p

「てんとうむしくんとかたつむりくん」

てんとうむしくんは、晴れの日が好き。おひさまが出ると、元気いっぱい遊びます。てんとうむしくんは、雨の日が好き。雨がふると、ご機嫌で散歩に出かけます。ふたりは、一緒に遊びたいなあ、と思っていましたが、そんな日はくるのでしょうか?

原っぱのあじさいを舞台にした、友情のおはなしです。生活スタイルの違うふたりは、どちらも無理せず、無理させず、仲よくする方法を見つけました。ラストは、淡いブルーのあじさいの上で肩を寄せます。

自身も自然に囲まれて暮らすどいかやさんの描く草花は、可愛らしいのにちゃんと本物。よく見ると、小さなカタバミの花は雨の日は花びらをとじ、一面に広がる葉っぱの色は、ひとつひとつ違います。うすいブルーのあじさい、雨上がりの無数の水滴。ゆううつになりがちな雨の日が、清涼な風景に変わります。

(3歳くらいから)

なみもとあや 文 どいかや 絵 福音館書店 こどものとも年中向き 2021年6月号

「あめのもりのおくりもの」

森に嵐がきています。かみなりが怖いクマさんが布団をかぶってふるえていると、ヤマネくんがやってきました。なないろ谷にあじさいを見に行こうと言うのです。雨がやむまで出られない、とクマさんはことわりますが、元気なヤマネくんは「お花を持ってきてあげるね」と雨の中に飛び出して行きました。けれど、それからしばらくして、川があふれだします。その流れにあじさいを見つけたクマさんは・・・

無鉄砲なヤマネくんの行動に、クマさんと一緒にハラハラしっぱなし。もー! でも、そのおかげで、谷に咲き誇るあじさいを最高のタイミングで見ることができるんですけどね。雨上がりの森らしい深い緑に、谷川をふちどるモリモリのブルーの秘密の光景です。

大きくて、おっとりとあたたかく、けれど細部まで丁寧に描かれて表情豊かなふくざわゆみこさんの絵は、子どもたちを魅了します。きいちご、グミの実、ホタルブクロやフキなども描かれ、季節を感じさせてくれます。

(4歳くらいから)

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ふくざわゆみこ /日本傑作絵本シリーズ /福音館書店

「あかちゃんかたつむりのおうち」

あるひ つちのなかの たまごが ぽこんっと われました。うまれたのは、ちいさい ちいさい おうちを せおった あかちゃんかたつむり!

枯れ葉のつもった土の中の卵から生まれた、まだ、うずまきがひと巻き半しかない、ありんこほどの小さなかたつむり。さっそく、葉っぱをいっぱい食べ、うんちをして、また食べ、うんちをして・・・それを見たまわりの虫たちは、「そんなに食べたら、背中のおうちにはいれなくなっちゃうよ」と声をかけます。心配になる赤ちゃんかたつむりでしたが・・・

この絵本は、小さな子の身近な自然や科学に興味のたねをまいてくれる、福音館書店の幼児むけの科学シリーズ「ふしぎなたね」の1冊。おはなしを楽しみながら、かたつむりの暮らしや成長がよくわかります。かたつむりは大きくなると引っ越すのかな?なんて、みんな一度は考えたことありますよね。

私は、赤ちゃんかたつむりを見たことがあります。半透明で脆そうな小さな殻で、とってもかわいいんです。この絵本にはあじさいは出てきませんが、つゆくさ、たんぽぽ、クローバー、ホタルブクロ(たぶん)、季節の草花と小さな生きものたちの営みが、触れるように身近に感じられます。小学校低学年などへの読み聞かせにもおすすめです。

(3歳くらいから)

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いとうせつこ, 島津和子 レーいとうせつこ, 島津和子 /幼児絵本ふしぎなたねシリーズ /福音館書店

「だんだん だんだん」

おじいちゃんに誘われて、夜のお散歩。おじいちゃんは、小さなビンをくれました。「なにをいれるの?」「それはあとでのおたのしみ。」

夕焼けの田舎道には、あじさいが満開。よく見ると、カタツムリやカマキリ、バッタもいます。おじいちゃんちから、だんだんはなれて、あたりは、だんだん草ぼうぼう。空はだんだん、夜の色。だんだん、だんだん。もうすぐ暗くなっちゃうのに、おじいちゃんは、どこに行くの?ついたところは、田んぼ。そこではだんだん・・・

あじさいにカタツムリは、1ページだけですが、木版画で描かれる6月の夕方の風景が、とっても素敵です。それに、他のどのページも、夏の手前のこの季節の空気でいっぱい。最後には、カエルに、とっておきの「あれ」もぽわんぽわんとひかりだします。

だんだん、だんだん。この、移ろう時間や空間って、いいものですねよえ。

(3歳くらいから)

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たけがみ たえ  出版社: ひさかたチャイルド

+α 安房直子「青い花」

自然の中のあじさいではなく、街角のあじさいが、記憶に残る物語。

町の裏通りに、小さな傘屋がありました。店には「かさのしゅうぜん」という看板がかかり、若い主人がコツコツと傘を直していました。長く降り続いた雨があがったある日、いつになくたくさんのお金が手元に残った傘屋は、欲しいものをあれこれと思い浮かべながら町へと向かいました。すると、道ばたに水色の服の女の子が傘もささずに立っています。傘屋は、思いつき、この女の子に傘を作ってあげることにしました。大変奮発した素晴らしい青色の布で作ったその傘は、町で評判になり、いつしか傘屋は修理をことわり、ただ青い傘をせっせと作り続けるようになりました。

美しい色や少し特別なもので紡がれ、人の性(さが)をエッセンスに、日常に魔法をかける安房直子さんの物語。言葉をたどると、その情景だけでなく、香りも湿度も心のざわめきすらも、目の前に立ちあがります。

梅雨のころに街を彩るあじさいの色が、物語を運びます。余韻が、細い雨の向こうのあじさいのように、雨音に紛れていきます。

(5歳くらいから)

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安房直子, 南塚直子 /小峰書店

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いかがでしたか?

あじさいは、春の桜と同様に、どこででも見られ、季節の移ろいを感じさせてくれる、私たちにとって親しみ深い花ですが、なぜか絵本にはあまり描かれないので、見つけるとうれしくなります。

絵本で楽しんだら、今度は傘をさして、あじさいの葉っぱのかたつむり、探しに行きたくなりますね♪

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