休日の公園に行くと、パパばかり、なんていう光景はもう当たり前になりました。
20年前に描かれたこの絵本に、追いつく日も、遠くないのかな。
ライオンの父さんが、子どもたちと散歩に出かけた。
草原では、いろんな仲間と会う。イボイノシシの奥さん、ひょうの父さん、ゾウのおばあさん。会うたびに、みんなが「うらやましい」とか「よくやるよ」とか「えらいわねえ」なんて声をかけてきます。
ライオンの父さんは、そのたびにソツなく返事をしながら、内心、好きでやっているだけで余計なお世話だ・・・と思うのです。
ライオンは、お気にりの岩山につくと、猿の石太鼓を聴きながら、昼寝をし、俳句を詠みます。時間はゆっくりと過ぎ、風がぬけ、雲は流れ、日は沈み、月が出て。そんな1日の終わりごろ、月明かりの下で、母さんライオンは・・・
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「イクメン」という言葉が流行語大賞にノミネートされる10年前に、この絵本は描かれました。
お父さんが子育てに”参加”するとか、”協力”するとか、女性の社会進出とか、そんなのよりずーっと先にいっています。
お父さんが子育てしたらほめられるのもなんか違うし、しなくて怒られるのもなんか違う。お母さんが働いたらほめられるのも違うし、家にいるのを責められるのもなんか違う。
もっと自由な、それぞれのまま共に生きる、共生。
いろんな動物が命を営む、広い広いサバンナと地平線を背景に、ひたすら悠々、のんびりしたスケールの大きな絵本です。こういうことなんだなあ・・・ってぼんやりと思います。
【この絵本のこと】
「ライオンのよいいちにち」
あべ弘士 作
佼成出版社
【どんな人におすすめ?】
読んであげるなら、3歳くらいから。おとなの人にも、ぜひ読んでみてほしいです。
最近では、イクメン、という言葉に違和感を持つ人も多いみたいですが、こういうことなんだなあ・・・と思わされます。
最初から最後まで、気が抜けるほどのほほんとした空気なのに、父さんライオン、ただマイペースに散歩して寝てるだけなのに。家族だけでなく、多様性のある世の中、こんなふうに生きられたらいいんだなあ、なんてことまで、背中で語っている気さえしてきます。
この、堂々とマイペースなパパ主役の絵本は、まだあります♪
↓10年後?!