そのつもり

ー ここは 森の なかです。
  かぜが ソヨソヨ ふいて います。
  森の なまえは ”そのつ森”。

             (本文より)

そのつ森では、動物たちの会議が、ずうっと開かれてきました。

森にある空き地を、どんなふうに使えばいいのか、話し合う会議です。

でも、もう、何年も何年も、決まりません。

きょうも、会議で、みんなは、アイディアをだします。

穴をほって、温泉にしよう、とか、山よりも高いものを、つくりたい、とか、海にしたい、とか、オバケを住ませたい、とか。

そのたびに、みんなで、じっと”そのつもり”になって、「いいねぇ、それ」と、言い合うのです。

・     ・     ・

きっと、このあき地には、これからもずっと、なんにもできないのだろうな、と思います。

だって、もし、なにかができてしまったら、”そのつもり”になって、みんなで「いいねぇ」って、言えませんもんね。

だからって、なんにもつくらないって、決めてしまうのも、つまらないのです。

決めてしまったら、やっぱり、一生懸命”そのつもり”になることは、もう、できませんもんね。

森を、どんな形にも変えることもできる、空き地。

いいねぇ、それ。

わたしも、ひとつ、作ろう。

いいねぇ、それ。

 

【この本のこと】

「そのつもり」
荒井良二 作 講談社

【だれにおすすめ?】

読んであげるなら、4、5歳から

動物たちが順番に披露する、思いのつまったアイディアがページいっぱいに描かれ、隅々まで見応えがあるので、小学生が自分で読むのにもおすすめです。

決断したり白黒つけるのにつかれた、おとなの心も、癒します。

 

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