てがみをください

梅雨って、なに色でしょう。

雨つぶの水色。
雨の日の風景の、青味がかったグレー。
色とりどりの、傘の色・・・

わたしにとって、梅雨は、青梅色かな。

あるひ、ぼくのうちの郵便箱に、かえるが1ぴきもぐりこんでいた。郵便箱の内側に、白いペンキをぺたぺたぬりながら「きょうは ひっこしで いそがしいんだ。かえった かえった。」なんて言っている、ちょっとえばったかえる。

次の日、手紙をとりにいくと、かえるがめがねをかけて、ぼくに届いたはがきを読んでいて、ぼくがおこると、けんかになった。

じゃあ、どうすれば自分にも手紙が来るのかってたずねるかえるに、ぼくはこう教えてやったんだ。「そりゃ、じぶんからも てがみを かけば いいのさ。てがみを くださいって。」

それから、まいにちまいにち、強がりを言いながら、さも手紙なんてどうでもいいふりをしながら、かえるは待っていますが、手紙はきません。そしてとうとうある日、「どうも ここの うちは、てがみに すかれていないらしい。」と言い残して、荷物をまとめて出て行ってしまいます。

かえるは、てがみをかかなかったの・・?

ううん。

かえるがいなくなったあとに、郵便箱から出てきたのは・・・

・     ・    ・

本を閉じても終わらない物語。

この絵本で、初めて、取り返しのつかないすれ違いを経験する子も、いるかもしれません。切ない余韻を抱えて、かえるのことを想って、ぼくのことを想って・・・

でも、ふたりのすれちがいは、もとにはもどらなくても、でも、想いが広がっていった先には、あたたかさ。

これは、切なくてあったかい絵本です。

 

【この絵本のこと】

「てがみをください」
山下明生 作
村上勉 絵
文研出版

【誰におすすめ?】

読んであげるなら、5歳くらいから。

上村勉さん独特の、どのページも青梅のような緑色で描かれ、雨、カエル、しっとりとした空気がこの季節にぴったりです。

かえると男の子、それぞれの気持ちが、手に取るようにわかる。

ユーモアをもって描かれているので、決して湿っぽくはなりませんが、こんなシンとした感情も、大切かなと思います。