かにむかし

 

かにが拾ったおにぎりを持っていた。すると猿がやってきて、うまいことを言われて柿の種と交換してしまう。しかし、せっせとお世話をしてようやく柿が実ったら、また猿がやってきて熟した実をどんどん食べてしまい、まだ固い青い実をかにに投げつけて、かには死んでしまう。

残った子がにたちと、同情した栗とハチと牛の糞と石臼は、敵討ちに出向き・・・

というのが、よく知られた「猿かに合戦」だと思うのですが、この絵本では、少し違います。

かにが拾うのは、柿の種。

それを植えて、ちょん切るぞ!などと声をかけながら育て、実が赤く熟し始めた頃に、猿が登場します。

そこから、猿が柿を横取りして、かにに青い実を投げて、かにが死んでしまうところは同じなのですが、子がにたちと栗や石臼の合流の仕方が、ちょっとおもしろい♪

子がにたちは、キビを育ててきびだんごを作り、それを持って仇討ちに出かけます。そして、道々に出会う仲間と繰り返される会話は・・・

「こしに つけとるのは、そら なんだ」
「にっぽんいちの きびだんご」
「いっちょ くだはり、なかまに なろう」
「なかまに なるなら やろうたい」

そう、まるで桃太郎。

この先の、仇討ちの方法はおなじみで、猿はぺっしゃんこになって、めでたしめでたしと、なるのです。

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地方や時代により、仲間が少しずつ違ったり、展開が少し違ったりするのが、口承文学ならではで、昔話のおもしろいところ。

この絵本は、新潟県の昔話をもとにした新解釈になっているそうで、方言の語りもゆるりと楽しく、清水崑さん(黄桜の初代かっぱ!)の絵はのびやかでユーモラスです。

スカッとするラストは健在で、盛り上がりもバッチリ!

たわわな柿の木が、あちこちに見られる季節。ぜひ、お楽しみくださいね。

 

【この本のこと】

「かにむかし」
木下順二 文
清水崑 絵
岩波書店

【だれにおすすめ?】

読んであげるなら、3、4歳くらいから。

物語の展開は好みがあるかもしれませんが、絵本として、これを超える「猿かに合戦」はなかなかないかと思います。

ただ、写真にあるのは、「岩波子どもの本」版なのですが、岩波書店のこのシリーズは、大判があるものは、大判で読む方が断然いいです(さるむかし、も大判があります)。小さくするにあたり、挿絵の位置などがずれ、文章とのバランスや画面の構成が崩れてしまっていることがあるので・・・もったいないです。