くんちゃんはおおいそがし

 

ー何もない時間!
 それは幼い子どもにとって大切な、大切なものだと思います。

           (訳者あとがき より)

朝から元気いっぱいのくんちゃんは
「なにか」したくてたまりません。

「なにをしてあそんだらいい?」と
お母さんのうしろをついて歩くくんちゃんに、
お母さんは言います。

「そとへいって、じぶんでなにかすることをみつけなさい。
おかあさん、きょうはおおいそがしなの。」

つまらなそうにそとにでたくんちゃんは、
ふっと蹴ったこいしに始まり、
松かさ、木切れ、小川、おうち作り、くるみひろい・・

次から次と、好奇心にみちびかれ、
お昼にはもう、なんと、立派な探検家になっているのでした。

 

おおらかな両親の愛にしっかりとつつまれて
のびのびと、元気でやさしいくんちゃん。

このシリーズは、まるで自分自身のようなくんちゃんが
あたたかく守られた世界で活躍し、子どもたちをよろこばせ、満足させます。

そして、もうひとつ。

日々子どもと向き合うお母さんにとって、
親とはどうあるとよいのか、子どもとはどんな生きものなのか・・・

その言動だけでなく、くんちゃんを見る両親のまなざしや
そこに映るくんちゃんの表情からさえも感じることができる、
子育てをもっと豊かにする教科書にもなります。

 

各巻末にある、訳者のまさきるりこさんのあとがきも、たのしみのひとつです。

曰く、この絵本のように展開するには、
子どもには、3時間の何もしない時間が必要だ、と。

最初の1時間は、「何をしたらいい?」と
お母さんにまとわりつき、
次の1時間でまわりに目がいき、何かをみつけ、
最後の1時間で、その見つけたものであそびだす。

ほんとうに・・・

その最初の1時間をがまんできずに、
テレビなどでつぶしてしまうのが、どんなにもったいないことか!

好奇心と奔放なイマジネーションを持つ子どもは
みんな、あそびの天才。

なんにもない時間が、最高の、遊び道具なんですよね。

・     ・     ・

【この本のこと】

「くんちゃんはおおいそがし」
ドロシー・マリノ 作 まさきるりこ 訳 ペンギン社

【だれにおすすめ?】

くんちゃんシリーズは、
入学、畑仕事、キャンプ、落ち葉、クリスマス
そしてもう1冊の、全部で6冊。

それぞれの季節に合わせて読むことができます。

出てくるくんちゃんは、すこーしずつ成長していて、
この「おおいそがし」が一番幼いようです。

子どもたちだけでなく、
お母さんにもおすすめのシリーズです。

 

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