お山でとってきた蔓や木の実、
うちの野バラでリースを
赤と緑で編んだガーラント
羊毛やどんぐりのオーナメント
紙を折ったり切ったり、絵を描いて
壁や窓にぺたぺたと・・・
毎日、すこしずつ、クリスマスの飾りがふえていきます。
ー それから、くまさんは、てがみや はがきや
こづつみを はいたつに でかけました。
どこのいえでも、くまさんが いくと、
とても よろこびます。
「ゆうびんやのくまさん」より
クリスマス・イブの朝。くまさんは、いつものように、お仕事にでかけます。
駅にこづつみを受け取りにいき、郵便局で手紙やこづつみにはんこをおし、やぶけかかった包みをきれいになおし、 配達に。勤勉で丁寧な仕事をするくまさんは、贈り物を届ける先々で、あたたかく迎えられます。
働いて、夜ごはんを食べたら、また明日に備えてベッドへとむかう、健やかなリズムの一日。
丁寧な生活を丁寧な語り口で描く、ページの隅から隅まで愛らしい絵本です。
くまさんが配達に行く先の家々は、どこもクリスマスのしたくの真っ最中。窓辺のカード、きれいに飾られたツリー、床に落ちるやどりぎやリボン・・・だれもが期待いっぱいで待ちわびる、わくわくとあたたかな空気がそこにあります。
そして、こじんまりと整ったくまさんのお部屋は、いくら眺めても眺めたりないくらい素敵です。
ツリーもプレゼントも、暖炉の上の写真やクリスマスカードも。どこを見ても、無口なくまさんの語られていない物語でいっぱいです。
【この本のこと】
「ゆうびんやのくまさん」
フィービとセルビ・ウォージントン 作
まさきるりこ 訳 福音館書店
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、3歳くらいから。
シリーズは他に、牧場、石炭や、植木屋、パン屋があり、ぬいぐるみのようなくまさんがもくもくと働く姿が愛らしく、応援せずにはいられません。
小さな子も楽しめますが、細かく描かれた風景やインテリアから、物語の外を想像するのも楽しく、もう少し大きな子にもおすすめです。
私は、もう、30年以上眺めていますが、まだ発見があるし、ちっともあきません♪