【七夕の絵本】知る、楽しむ☆たなばたの絵本8冊+α

もうすぐたなばた。

子どもと飾りを作り、願い事をつるし、夜空を見上げる。それだけで季節を感じ、子育ての日々を楽しくしてくれますが、親子で物語を楽しみ、星を知ることで、もっとゆたかに過ごすことができると思います。

七夕伝説の絵本の読み比べから、七夕がテーマの絵本、星の絵本まで、この季節に楽しみたい絵本をご紹介します。

1 由来

七夕は、中国の織女と牽牛の星伝説と、手芸上達を願う「乞巧奠(きっこうでん)」という祭りがもとになっているそうです。奈良時代に日本に伝わり、それまでにあった棚機津女(たなばたつめ)という言葉と合わさって今のような風習へ繋がっています。

今年は晴れるかな?

7月7日が近づくと、天気予報が気になりますが、日本では梅雨のさなかで涙の雨の年も多いです。

これは、七夕は、もともとは旧暦の7月7日、今の8月末頃行われていたことと関係があります。本来の時期は、天の川と、それをはさむひこ星のアルタイルと織姫星のベガを含む、夏の大三角形がよく見える時期なのです。

2 七夕の伝説を描いた絵本

「たなばた」

昔、天の川の東に、七人の天女がおりました。みんな美しい雲を織りましたが、末娘の織姫はいちばん上手でした。一方、天の川の西は人間の世界で、ひとりの牛飼いが暮らしていました。ある時、天女たちが天の川で水浴びをしていると、牛の助言を受けた牛飼いが、織姫の着物を隠してしまいます。そして、天に帰れなくなった織姫を妻にとり、ふたりの子どもがうまれ、親子は幸せに暮らしていましたが、そのことを知った天の王母さまは織姫を連れ戻します。いつの間にか天の川も遠くの空へ。追いかけるすべのない牛飼いでしたが、牛に言われる通りに、牛の死後にその皮で着物を作り、子どもを背負って天へ登ります。しかし、ようやく天の川までたどり着いたものの、怒る王母さまはかんざしで線を引き、天の川に大波をたててしまいます。どうにか渡ろうと、柄杓で川の水を汲み出そうとする親子。その姿をみて不憫に思った王母さまは、年に一度、七月七日にカササギの橋をかけ、家族が会うことを許したのでしたー

中国でうまれた七夕物語は、とても古くから語り継がれる中で、いくつかの物語に派生しています。その中で中国で主に語られているのは、京劇でも演じられる「天河配」という物語だそうで、この絵本は、その天河配に忠実に描かれています。

羽衣伝説のような、ロマンチックで美しい物語。やさしくわかりやすく、美しい語り口。昭和初期に活躍した童画家、初山滋のモダンな美しい絵。透明感があり壮大で、七夕の夜空に思いを馳せるのによく合います。

天の川をはさんで光るふたつの星、牛飼いのアルタイルの両脇の小さな星、天の川にかかる白鳥座の羽。夏の夜空に重ねて楽しんでくださいね。

(3、4歳くらいから)

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君島久子, 初山滋 /こどものとも絵本 /福音館書店

「たなばたものがたり」

星の世界の王様ー天帝には、織姫という娘がおり、機織りが上手で世にも美しい服を作り続けていました。働き者の織姫を気にかけた天帝は、お婿さんをもらってやることにし、天の川の向こうで牛の世話をしている、働き者の牛飼いが婿になることになりました。ふたりはすぐに好きになりましたが、お互いのことに夢中になり、機を織ることを忘れ、牛をほったらかすようになってしまいます。そして、ついに、怒った天帝にふたりは引きはなされてしまい・・・

引きはなされてふさぎ込むふたりを心配した天帝が、まじめに働けば1年に1度だけ会わせてやると約束し、やっとやってきたその7月7日が雨で天の川を渡れなくなっていたところ、カササギが飛んできて橋になってくれるー という、よく知られた、七夕の物語です。

中国の古い古い小説に「天の河の東に織女有り、天帝の女なり。年々に機を動かす労役につき、雲錦の天衣を織り、容貌を整える暇なし。天帝その独居を憐れみて、河西の牽牛郎に嫁すことを許す。嫁してのち機織りを廃すれば、天帝怒りて、河東に帰る命をくだし、一年一度会うことを許す」という一説があり、1500年前には語られていたことがわかるそうです。(Wikipedia,七夕

牛飼いの若者に「牽牛」や「ひこ星」の名前は出てきませんが、今の日本の多くの人のイメージも、この物語ではないでしょうか? わかりやすく絵本になっていて、巻末には、七夕の歴史も解説されています。ザ・七夕絵本です。

とても昔から語られる物語だけあって、なかなか封建的だなと思いますが・・・天帝も織姫も牽牛も、パワハラだったり恋に溺れたり・・・大昔から、人間は、変わってないのかも?!

(3歳くらいから)

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舟崎克彦, 二俣英五郎 /行事の由来えほん /教育画劇

「てんにんにょうぼう」

山で畑仕事をしていた若い男が、近くの川へ天女が降りてきて水浴びをするところに出会います。男は、水浴びの隙に、その透きとおるようなきれいな衣を一枚隠し、衣を探す天女を自分の家に連れて帰ってしまいます。しかし、一緒に暮らすようになり、子どもも生まれたある日。男が山仕事へ行っている間に、衣のありかを見つけた天女は、天へ帰ることに。残された男と子どもは、天女の置いていった夕顔の種をまき、つるを登って天まで追いかけます。また一緒にすごせるようになったのですが、もいではいけないといわれていた甘瓜を、男がもいでしまい・・・

「天人女房」という昔話は、全国にいろいろな形で伝わっていますが、これは、新潟の昔話を元にした、七夕の由来につながる物語になっています。

絵を手がける中井智子さんは日本画家だそうで、色彩の美しさや繊細さと絵本らしい愛らしさが混ざり、切ないながらも華やかな印象が残ります。

3 アレンジ版・たなばた物語

「たなばたウキウキねがいごとの日!」

家族でたなばた飾りを作っていた、たぬきのポコくん。短冊に「いっしょにあそべるともだちができますように」と書いて飾ったそのとき、とつぜん強い風が吹いて、短冊は山の向こうに飛んでいってしまいました。山の向こうは、きつね村。短冊をひろったきつねのキコちゃんは、たぬきにバケてポコくんに会いに出かけましたが・・・

出会ったふたりは、一緒にそうめんを食べたり、星空をながめたり。そういえば、たぬき村への道中では大きな川をわたるのにカササギに助けてもらっていたし、山をはさんだふたりは、織姫と彦星みたい。そう、この絵本は、お話の中にたなばたにまつわることが織り込まれているだけでなく、物語自体が七夕伝説風になっているのです。

もとのたなばた伝説を知っていれば、なお楽し♪巻末には、飾りの作り方や献立のアイディアも載っていてます。

(3歳くらいから)

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発売日: 2010年06月  著者: 増田裕子, たちもとみちこ  出版社 :文渓堂

「ねがいぼし かなえぼし」

本をひらいた、タイトルページ。そこでは、大型トラックが田舎道の橋を渡っていて、助手席から男の子が身を乗り出して手を振っていますー

明日は、七夕です。しほちゃんは、しょんぼりした顔で、お母さんと縁側で夜空を見上げています。短冊には、「うみくんとあわせてください」。明日の天の川では、あのおふたりは会えるでしょうか・・・ しほちゃんが想いを馳せた天上の世界では、帝と織姫とひこ星の、よく知られた七夕物語が繰り広げられます。

そしてまた地上に戻り、七夕の夜。しほちゃんのもとに、電話があり・・・

伝説はオーソドックスなものを簡潔にまとめてありますが、絵が個性的でど迫力、ドラマチック。現実と伝説をリンクさせた描き方がおもしろく、身近に感じられます。「絵本」として楽しいです♪

(4歳くらいから)

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内田麟太郎, 山本孝 /えほんのマーチ /岩崎書店

4 短冊に願いを・・・の絵本

「みんなのおねがい」

ー きょうは たなばたです。うさぎの うーちゃんは、おかあさんと、ささかざりを つくります。

おねがいがお星さまに届くように、輪飾りを長くつなげたうーちゃん。お友だちのうちへ、ねがいごとを聞きに行きました。「チーズのおうちにすみたい」「おおきな空をとりさんのようにとびたい」「にじいろのかえるになりたい」。そんなかわいいおねがいを、みんなで絵に描いて、短冊を作りました。

小さな子と行事を楽しむ「はじめての行事えほん」のシリーズの中の1冊です。おはなし自体はとてもやさしく、みんなで願い事をして笹を飾ることが中心ですが、巻末には七夕の伝説や由来、お祝いの仕方が解説されています。おうちの方が読んで、子どもと話したり、やってみたり。それぞれのご家庭でお楽しみが広がります。

(2歳くらいから)

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すとう あさえ, おおい じゅんこ /はじめての行事えほん /ほるぷ出版

「たなばたさま きららきらら」

準備中

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長野ヒデ子 /ワンダーおはなし絵本 /世界文化社

5 七夕におきた不思議なおはなし

「ひ・み・つ」

 ゆうきのおばあちゃんは、今度のたなばたさまの日に80歳になります。手紙でほしいものをたずねると、おばあちゃんから秘密のお返事がきました。おばあちゃんは、ほんとうは、40年前に天国にいってしまったおじいちゃんと、もう一度ダンスがしたい、というのです。ゆうきは、大好きなおばあちゃんの願いを叶えようと決心します。

魔法を使えたら叶えられるかな?去年の劇の時におばあちゃんが作ってくれた魔法使いの帽子をかぶってみると、なんと、動物たちの声がわかります。その声に導かれて、お宮の森に来てみると・・・

ゆうきとおばあちゃんの絆。ゆうきと友だちの、とびきり元気で、やる気満々の気持ちが起こす、七夕の夜のロマンチックな奇跡。すばらしい!

52ページと読み応えがありますが、いきいきと美しい絵にお手紙もはさまれ、現実の中にファンタジーがうまく混ざり、引き込まれます。

(5歳くらいから)

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田畑精一 /たばたせいいちの絵本 /童心社

6 +α 星のことを知りたい!

「はじめてのほしぞらえほん」

おとなになり、親になり、あらためて自然にふれるなかで、もっと知りたい!と思うことも多いです。むずかしいことではなく、楽しみながら、子どもと一緒に学びたい・・・そんな気持ちに応えてくれるのが、この「はじめての」シリーズです。

「きょうも まどから 星は みえるかい?」「いくつ みえるかな?」

まだ何も知らないまっさらな子どもに、話しかけるようにはじまり、見えている星はほんの一部だということ、まだ地球が丸いということを知るずっと前から人は星を眺めていたこと、そして星座の話へ。

星の動き、明るさ、距離、自転公転、季節の夜空、惑星彗星、流れ星、銀河、星の一生・・・教科書に載っているようなことはひと通り、たくさんのイラストでとてもわかりやすく説明されています。小さい子には、やさしく語られている部分だけ、大きい子や興味をもったところは、細かい解説も、というように、読み分けるといいと思います。

図鑑ではなく、絵本。読み聞かせてあげられるのが、うれしい。

イラストもかわいく、知識の量もちょうどよく。本格的な図鑑の前の、興味をもったり広げたりするきっかけにぴったりのシリーズです。

(5歳くらいから)

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てづかあけみ, 村田弘子 /パイインターナショナル

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いかがでしたか?

長い歴史のある、七夕。物語もいろいろな形で語り継がれているようです。

いろいろ読み比べるのも一興。
背景や星のことを知ればさらに。

さあ、晴れるといいな・・・と期待を込めて、笹の支度にとりかかりましょう♪

・・・・・・

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