「ぼく みなしご」
と、登場し、「お父さんもお母さんもいなくて、ひとりぼっちなんだよー!」と、悲しみに胸が張り裂けそうなようすのふくろうの子。
涙を誘われていると、そこに登場するのは、なんと、お父さんとお母さん。
そう、オリバーくんは、お芝居が大好きなんです。
しょっぱなから、なんて、名演!
オリバーくんは、一日中、いろんな鳥たちの真似をしてすごしました。
それを見ていたお母さんは、この子はお芝居の才能があるわ、と思い、お父さんは、でも、弁護士かお医者さんになるのもいいぞ、と思います。
そこで、ふたりは、お医者さんごっこや、弁護士ごっこのおもちゃを買ってあげ、お芝居やタップダンスも習わせました。
「この子の才能をのばしてやりましょうよ」
そう。ふたりは優しくて、とってもオリバーくん想いなのです。
オリバーくんは、お医者さんごっこも、お芝居の勉強も、ちゃんと、やってのけました。それも、楽しく。
優しいお父さんとお母さんは、大喜びで、将来をたのしみにしていました。
けれど、オリバーくんが大きくなったとき、なったのは・・・
・ ・ ・
我が道を行くオリバーくんに、スカッ!
まだ子どもの立場だった、10代、20代のわたしは、このお父さんお母さんを、ちょっと笑って、オリバーくんの選択に、大喝采を送っていたものでした。
それが、今や・・・
でも、でも、でもね、このご両親の愛情は、ちょっと滑稽だけど、ほんもので、だからオリバーくんは、のびのびと、好きなことを好きなようにできたんだ、とも、思うんです。
ひょうひょうとしたアルエゴの絵は、シニカルさを全然感じさせません。
ややこしいことを何も言わず、軽やかに、ただおもしろく、子どもにとっても、親にとっても、大切なことを描いています。
【この本のこと】
「オリバーくん」
ロバート・クラウス 文
J.アルエゴ、A.デュウェイ 絵
はせがわしろう 訳
ほるぷ出版
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、4、5歳から
この書かれている意味がわかり、共感する、高学年のクラスでの、読み聞かせにもおすすめ。
お母さんはドキッとするかも?
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