ー きたの おやまの てっぺんの
さんぼんすぎのしたに、
ちいさな いえがありました。
そのいえには、
のっぽのやまんばと
やまんばのやまんばの むすめの
まゆが すんでいました。
(本文より)
ある日、まゆが雑木林で遊んでいると、
赤鬼に出会いました。
でも、鬼を知らないまゆは、
「シカでもないのにつのをはやした、大きな人」
としか、思いません。
鬼のほうは、お腹を空かせていて、
おいしそうな女の子に、にんまり。
やさしい声でまゆを誘い、
煮て食べてしまおうと、思いましたが・・・
まゆは、やまんばの子ですからね、
なんといっても、力持ち。
薪を集めて、と言われれば、太い木を根っこから引っこ抜き、
かまどの石を集めて、と言われれば、
鬼の岩屋の壁を蹴っ飛ばして岩を崩す。
おまけに、無邪気で天真爛漫。
お風呂には、親切な人を先に、と言って
熱いお湯の中に、鬼を放り込んで「あげて」しまいます。
ひとことでいえば、パワフル!
強くて元気で無邪気でやさしい女の子
まゆの活躍がたのしい絵本です。
絵本の中をところせましと体を動かし
くるくると表情を変えるまゆと、
まゆに振り回されて右往左往の鬼のやりとりが
なんとも可笑しい。
驚くやら怯えるやら、度肝を抜かれながら
なんとか対面を保とうとしてがんばる鬼や、
ハラハラしながらまゆを見守る
ペット(?)のきつね。
自在でダイナミックな構図の中で
登場人物たちはみんな生き生きしています。
鬼はどうなったかって?
まゆと、お母さんのやまんばの作るおにぎりに
すっかり魅了されてしまったみたいですよ。
【この本のこと】
「まゆとおに」
富安陽子 文 降矢なな 絵 福音館書店
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、3、4歳くらいから
「やまんばのむすめまゆのおはなし」のシリーズの1冊で、
ハードカバーになっているものは、ほかに
「まゆとうりんこ」「まゆとりゅう」があり、どれもたのしい。
鬼は出てきますが、節分の話ではないので、一年中どうぞ。
降矢ななさんの絵は、
本当に、表情と構図が抜群です♪
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