「読み聞かせ」という言葉を聞いて、どんなものを思い浮かべますか?
おとなが絵本を読み、子どもがそれを聞く・・・それはもちろん、大まかな形としてはそうなのですが、この行為の根底にあるのは、コミュニケーションです。
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絵本は「もの」ではなく「時間」
「絵本」というと、どうしてもついてくる言葉、それは「読み聞かせ」。
小さな子にとって絵本は、誰かに読んでもらってこそ、だと思うと、読んで聞かせる「読み聞かせ」は間違いではないですが、その言葉が、おとなをしばっていることもあるように思います。
これから子どもと絵本とのお付き合いの始まる、赤ちゃんのお母さんお父さんは、とりあえずこの「読み聞かせ」を忘れてみるのはいかがでしょうか・・・
はじめて絵本と出会う小さな子たちにとって、絵本の内容はそれほど重要ではなく、では何をよろこぶのかといえば、絵本をはさんでお父さんお母さんと遊べることです。
おひざやねんねでスキンシップができて、声が聞けて、気持ちいいリズムを感じる・・・そんなことを最初は楽しみます。はじめて絵本と出会う赤ちゃんにとって、絵本は「もの」ではなく「時間」です。
赤ちゃんが絵本を楽しまない?
赤ちゃんだけでなく、1、2歳の子でも、絵本を楽しまない、よろこばない、という子はいると思います。
むりに「読み聞かせ」をしようとしてはいないでしょうか?
読んで聞かせて、内容を楽しむのは、もう少し先。まずは、絵本を使って子どもと遊んで、絵本=たのしい時間、と感じてもらうことからはじめましょう。
絵本でコミニュケーションを
最初から読まなくてもいい、文字を全部読まなくてもいい。
ただ、お母さんやお父さんが、この絵本を一緒に楽しみたいな、という絵本を使って、子どもがよろこばせてあげればいい。
好きなページばかりでもいい、アレンジしてもいい、頭を柔らかくして、絵本をはさんで赤ちゃんとコミニュケーションをとってみてください。
絵本で遊んでも、いいんです。自分でページをめくりたい子にには、どこからめくっても楽しめる本など、その子の興味にあった本を。親子で絵本を通して遊ぶことをイメージして選んでみるものいいと思います。
その先に「読み聞かせ」
絵本とのお付き合いの第一歩は、絵本で遊ぶこと、絵本と過ごすことです。
いわゆる「読み聞かせ」をはじめる前に、絵本をはさんで、お子さまとたくさん遊んであげてください。過ごしてください。
たくさん遊んで、絵本=お母さんお父さんとの楽しい時間、と認識されたら、もう、その子は絵本好きへの階段を半分登ったも同じ。
そのうちに、おひざに乗せてほしくて、優しい声が聞きたくて、遊んでほしくて、よちよちと絵本を持ってきてくれるようになっていくと思います。(どんなに気が乗らなくても、こればっかりは断れない!)
絵本の内容をまるまる楽しめるようになるのは、1歳半や2歳くらいになってからで大丈夫。それまでは、しあわせな時間を生み出すコミニュケーションの道具として、自由に活用しましょう。
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絵本で遊ぶって、絵本でコミニュケーションって、どんなこと・・・?
たとえば、こんな絵本はいかがでしょう?
い・ち・ご・さ・ん・と・・・とページをめくると、だるまさんとふたりでぺこっっとおじき。ばななさんと、ぽにん。めろんさんと、ぎゅっ。だるまさんと・・・
大人気のだるまさんシリーズですが、赤ちゃんには、この「と」がおすすめ。ぽにん、ぎゅっ、ぱっ、と読みながら親子で自然にまねっこしたくなります。
シンプルな緑の葉っぱが1枚。「だれかがかくれているよ、でてこいでてこい」とページをめくると、葉っぱから飛び出したみたいなカエルが、げこげこげこ。
青い丸からは、ピンクのおうちからは、大きな赤い四角からは・・・?
鮮やかでくっきりした絵と、繰り返しのリズムがたのしい絵本です。でてこいでてこい、の時に「トントン」とノックしてみたり、おまじないみたいに言ってみたり、いろいろな遊びも生まれます。
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いかがでしたか?
読み聞かせ、というと形のあるものに思ってしまいがちですが、決まった形なんてありません。ゆっくりと、それぞれの家庭にあった絵本の時間を作っていってください。
絵本にたくさん親しめば、自然に、成長とともに読んでもらう楽しみが育っていきます。