海でのおたのしみは、ひと泳ぎしたあとに、浜辺で食べる早めの昼食。
プールから子どもをひっぱりだすには、「アイス食べよう」の一言がいちばん有効。
水からあがった午後の帰り道の、心地よい疲れと、満足感。
それに加えて、子どもや動物の本能に逆らってあれこれ言っても無駄だということ。
おひさまの角度やようすが、どれだけ気分に影響するか。etc・・・
子どもの頃は知っていたけれど、忘れていたこと。月日を重ねるごとに、わかっていった、人生をたのしくさせるエッセンス。
この絵本には、たくさん、さらっと描かれています。
川のそばの家に住み、ふねをいっそうもっているガンピーさん。
ある日、ガンピーさんがふねにのって出かけると、こどもたちがやってきて、つれていって、とたのみます。
「いいとも」と、ガンピーさんはいいました。「けんかさえ、しなけりゃね」
うさぎ、ねこ、いぬ、ぶた、ひつじ、にわとり、こうし、やぎ・・・それぞれお行儀を守るお約束をして、つぎつぎに、おさんぽの仲間はふえていきます。
みんな、しばらくは、ガンピーさんとの約束をまもって、たのしく川をくだっていたのですが、そのうち、やっぱり、おおさわぎ。
(それは、そうです。やぎはけっとばすし、こうしはどんどんするし、にわとりはパタパタするし、ひつじはめえめえいうし、ぶたはうろちょろするし、・・・こどもはけんかする、そういうものなんだもの!)
とうとう、ふねがひっくりかえって、みんな、かわにおちてしまいました。
でも。
うすい水色の空に、時とともに色を変える大きなお日さまのついてくる、あついあつい日。
川におちるのって、ちっとも、いやじゃありません。
それが、ゆったりとした時間のながれる、静かな午後ならなおさら。
たのしい仲間といっしょなら、なおさら。
おいしいお茶がまっていたら、なおさら。
・ ・ ・
【この本のこと】
「ガンピーさんのふなあそび」
ジョン・バーニンガム 作 みつよしなつや 訳
ほるぷ出版
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、4、5歳くらいから
子どもも動物も、お行儀よくが長続きしないのが可笑しいです。
季節は問いませんが、舞台は、きっと、夏の終わりの午後。みんなが帰っていく姿を見送る太陽が、とてもいい雰囲気です。
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