ふわふわしっぽと小さな金のくつ

イースターバニーは、春が訪れ、命がよみがえることをお祝いするキリスト教のお祭り「イースター」で、とてもだいじな役目をはたすうさぎです。

世界中をまわって、子どもたちに、しあわせを呼ぶたまごを届けるのです。

イースターバニーになれるのは、たったの5匹。世界中のうさぎの中から、心がやさしく、足が速くて、おまけにとても賢いうさぎが選ばれます。

田舎に暮らす小さなうさぎの女の子、ふわふわしっぽも、イースターバニーになりたいと願っていました。

立派な毛並みや、長い足をもつ、大きなうさぎたちは、そんなふわふわしっぽを笑い飛ばしましたが、「いまにわかるわ!」と、強い気持ちを捨てませんでした。

けれど、時が過ぎ、おとなになったふわふわしっぽは、結婚して、21匹もの子うさぎが生まれ、子育てに大忙しの日々。そんなある日、あたらしいイースターバニー選びがおこなわれるという話を聞き、悲しい気持ちをかくしながら、子どもたちを連れて、見学に行くと・・・

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たとえ、昔持った夢から、遠く離れてしまっているように思っても、強く願っていたときの志を忘れず、目の前のことに自分らしく誠実に向かっていれば、道はいつか、思いがけないところで、つながっていることもあるのです。

ふわふわしっぽが、彼女の持って生まれたやさしさや誠実さのためだけでなく、子育てで培った賢さや知恵や強さ、誇りや自信があったからこそ、特別のイースターバニーに選ばれたように、それは、決して、回り道ではないのだと、思います。

命の芽吹く春。

その小さな芽は、一朝にして生まれたものではなく、めぐる季節の中でゆっくりと育まれてきた形なのだから。

【この本のこと】

「ふわふわしっぽと小さな金のくつ」
デュ・ボウズ・ヘイワード 作
マージョリー・フラック 絵
羽島葉子 訳
パルコ出版

【だれにおすすめ?】

読んであげるなら、5、6歳くらいから。

ですが、どちらかというと、子育てでやりたいことが中断されているような気持ちになって、ため息がつきたくなった時に、お母さんに読んでみてほしい絵本です。

ふわふわしっぽ、お母さんとして有能すぎ!とか、お父さんはどこで何してるの、とか、後半の展開とか、そういうことは置いておいて。それでも、この絵本のメッセージってとってもいいな、と、思います。

 

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