【12月13日】サンタクロース 三変化

サンタクロースの祖先は遡ること4世紀、小アジアの聖人・聖ニコラスと言われています。お嫁にいく貧しい姉妹に夜にこっそりと贈り物をしたという彼の伝説から、12月6日の聖ニコラスの日に贈り物をする習慣ができました。

その後、ヨーロッパの宗教改革などを経て、少しずつ姿を変えていくのですが、そのアイディアの広がりは、サンタクロースが生まれる前から、いかにその存在が人々に愛されていたかがわかり、とてもおもしろいです。

その姿の変化を、絵本でちょっとのぞいてみましょう♪

聖ニコラス

小アジアの司教で、子どもたちや船乗りの守護聖人。亡くなった12月6日は、キリスト教がヨーロッパに入ってくる以前から「聖ニコラスの日」として祝われていたそう。

この日に、子どもたちは聖ニコラスからプレゼントをもらう風習があり、それがサンタクロースの原型です。

聖ニコラスは、悪い子にはお仕置きをする鞭打ちおじさんを連れくるんだって!

今もヨーロッパではこの日をお祝いしている国もあり、調べるとその様子がたくさん出てきます。特に盛んだったオランダの言葉で聖ニコラスは「シンタクラース(ジンタクラース)」。そう、シンタクラースが移民と共にアメリカに渡り、シンタクラース、シンタクラース、サンタクロース!というわけです。

【クリスマスの絵本】いろいろな「クリスマスのまえのばんーナイト・ビフォー・クリスマス」読み比べ 12冊
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サンタクロースのイメージを決定づけたと言われる、一編の詩。「クリスマスのまえのばん」としてたくさんの絵本にもなり、日本でも知られるその詩の原題は「A Visit from St.Nicolas」です。

挿絵や翻訳で、いろいろな解釈で描かれていますが、中には、「聖ニコラス」の名前と司祭風の姿で登場するものもあります。読み比べているので、上のリンクからみてみてください♪

ファーザー・クリスマス

イギリスで、プレゼントを持ってきてくれるあの人の名は、ファーザークリスマス。かの有名な絵本も、原題は「Father Christmas」だし、トールキンの本の題名もそう。

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著者: レイモンド・ブリッグズ, すがはらひろくに  世界傑作絵本シリーズ  出版社: 福音館書店
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著者:J.R.R.トールキン, ベーリ・トルキーン  出版社: 評論社

役目はほとんど同じだし、呼び名が違うだけと思いきや、その先祖も違うんだって!

聖ニコラスから変化していったサンタクロースと違い、ファーザークリスマスは、もうひとつのサンタさんのルーツ、北欧系。もともと、ケルトの時代から続く冬至のお祭りで春の訪れを告げるものが始まりだそうです。姿は、柊の冠をつけ、冬至のお祭りに奉られたオーディンから引き継いだひげ。

それが、クリスマスの仮装劇の進行役をつとめるようになり、この時期の象徴のような存在に。そして、この風習は廃れたものの、時がたち、サンタクロース役が必要になったときに、白羽の矢がたったのですね。

幼子キリストと天使

大昔に教科書で習ったルターの宗教改革。これが、サンタクロースの歴史に関係があるとは・・・!

カトリックの腐敗をただそうとしたルターは、その煌びやかさを排して、聖書信仰をかかげて偶像礼拝を禁止しました。その際に、聖ニコラスがプレゼントを配ることができなくなり、代わりにその役を幼子キリストが担うことに。赤ちゃんのイエスさまお手伝いをする天使たちが登場し、それがクリストキントと呼ばれて、今もドイツやスイスではクリスマスの主役を務める地方もあるそうです。

外国のクリスマスカードやアドベントカレンダーなどで、かわいらしい天使がプレゼントを配っているのは、そういうわけだったんですね。

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発売日:2009年09月  著者,訳者:エルゼ・ヴェンツ・ヴィエトール, 斎藤尚子 出版社 :徳間書店

この絵本にも、赤ちゃんのイエスさまと、イエスさまに代わって思いやりを届ける天使が描かれます。

これはもう、びっくりするくらいかわいらしいしかけになっているので、ぜひ手に取ってみてほしい!

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いかがでしょうか?

サンタさんにも、いろんな事情があるんですね・・・クリスマスは神様の誕生を祝う、宗教的なお祭りですが、サンタクロースに関してはどこか人間味を感じる展開も多くて、おもしろいし、微笑ましくさえなっちゃう。

こちら日本のサンタさんも、子どもたちをよろこばせたい、という気持ちは一緒。そろそろ、本腰をあげなくては!

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