赤ちゃんには、この世界が、どんな風に見えているんだろう、と考えると、この絵本が浮かびます。
くらい夜空に、ぽっかりと浮かぶ、あたたかなあかりの、おつきさま。
実際、生まれたばかりの赤ちゃんは、まず、光(明るさ)に反応するそうで、色でいうと、寒色よりも暖色、明るくてあたたかい、黄色のような色が好きなのだそうです。
そう、この絵本に出てくる、おつきさまのような。
ふと上をみたら、今日は満月だった、というのはよくある話で、人を惹きつけるあの光が、空にかかる本物のおつきさまが、ふわりと枕元にやってきたような、絵本です。
まっくらな夜、おうちには、明かりがともります。
すると、屋根の向こうから、すこしずつ、おつきさまが顔をだし、やがて空に架かります。その時、雲が流れてきて・・・
お月さまが主役。
月が登る、それだけの、赤ちゃんや幼児に向けた、とてもシンプルなストーリーですが、タイトルの向こうからやってくる2匹の猫や、月を眺めに外に出た親子のシルエットが、世界を少しふくらませ、近づけます。
おつきさまとおはなしするように、ゆっくりとページをめくっていくと、こころも、声も、まあるくおだやかになって、読んでいるお母さんも、うと、うと、うと。
みんなで、おつきさまの笑顔を見とどけて、パタンと本もまぶたもとじれば、ぷくりと、やさしいお顔のおつきさまと窓からもれる、あたたかそうな明かりが、まぶたのうしろに、のこっています。
おやすみなさーい・・・
【この本のこと】
「おやすみなさいおつきさま」
林明子 作 福音館書店
【だれにおすすめ?】
赤ちゃんのファーストブックにもよく選ばれる、ロングセラー絵本です。
ただ目で追っていたのが、猫たちの存在に気がつき、おつきさまの表情を理解し、楽しみを深めながら、長く楽しめます。
小さな子どもにとっては、雲が月を隠すことだって、ドラマチックなんですよ。
【今日は何の日?】
満月の日にかぎって、空をふと見上げるのは、なんでなのでしょう?
夜中に目が覚め、カーテンの隙間から漏れる夜がいつもと違うような気がして、窓をのぞく時も、たいてい満月です。
そんな、人を惹きつける満月の明かりが、この絵本の中に、ちゃんとあります。
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