夏になるといそいそと本棚から取り出す、2冊のファンタジー。
遊ぶ友だちが見つからず、神社まで来た”かんた”が、でたらめに歌った歌からはじまる、おかしな3人組の妖怪たちとの、ゆかいなひとときを描いた「めっきらもっきらどおんどん」
家の裏の川で涼んでいた”おっきょちゃん”が、かっぱの男の子に誘われて、川の中のお祭りに行き、そこで過ごすことになる「おっきょちゃんとかっぱ」
どちらも、セミの声が聞こえそうな真夏の昼間、ふとしたことがきっかけで異世界へ足を踏みいれるファンタジーです。
ふたりとも、異世界でたのしく遊ぶものの、うちを思い出し、恋しくなり・・・
いつもの毎日の中に、異世界とつながる扉があること。帰りたくなるきっかけ(家族)があって、それが叶うこと。出会いと、別れ。
何十回読んでも、惚れ惚れほど見事な、行きて帰りし物語は、もう会えない戻れない、ほんのすこしのさみしさが、奥行きを増します。
戻れないから、いっそう眩しい、ビー玉に閉じ込められたようなキラキラした時間。
お話はもちろん、自在な構図の生き生きとした絵が、また、すばらしく。
夏、必携です♪
【この本のこと】
「めっきらもっきらどおんどん」
「おっきょちゃんとかっぱ」
どちらも、長谷川摂子 文 降矢菜々 絵 福音館書店
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、4歳くらいから。
絵も物語も素晴らしい、行きて帰りしファンタジーで、日本の情緒が物語全体に豊かに流れます。
夏が来るたびに、何年もなんども、楽しみたい傑作絵本です。
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