卒業は、大きな節目です。それぞれの歩くはやさにかかわらず、時が来ればやってくる、その用意された門出は、子ども時代にだけある特別なものです。
いろいろな人に助けてもらい、背中を押され、扉の前に立つ。一歩踏み出すのは、もちろん自分なのですけどね。このセレモニーのあたたかさ、子ども時代はわからなかったな・・・
門出の季節。未来に向けて歩んでいく子どもたちに、渡したいメッセージのこもった絵本のご紹介です。
↑こちらで、卒業する6年生へ読み聞かせたい絵本も紹介しています
まわりへの感謝と自分への信頼を胸に「ありがとう」
谷川さんの詩「ありがとう」に、絵本作家のえがしらみちこさんが人生の節目の卒業を重ね、そのイメージをふくらませて生まれた絵本。
紡がれるのは4つのありがとうーいつだってわたしの上でどこまでも広がっている空、明日は散ってしまっていても今わたしの前で咲いている花、わたしを産んでくれたお母さん。そして、わたしをわたしにしてくれている、私へ。
晴れ晴れしく、満ち足りて、まわりのすべてに感謝したくなるその瞬間が、卒業の日と重なります。そして、その肯定と感謝が自分へも向き、自分で自分の背中を押せる。なんて気持ちのいい旅立ちでしょう。
世界の限りなさに向かい合う若さも、とても眩しいです。
あなたがあなたであること「たいせつなこと」
すべてのものには、そこに存在する意義があります。
スプーンは、使うと上手に食べられること。ひなぎくは白いこと。雨はうるおすここと。風は吹くこと。空はいつもそこにあるということ。それは、ほかとくらべて得られる価値ではなく、与えられた役割でもなく。それがもともと持っているもの。
そして、あなたは・・・あなたにとってたいせつなのは、あなたがあなたであること。それ自体がそこにいる意味、生きる意味。
これからどんなことがあっても、どんな人になっても、これさえわかっていれば大丈夫。シンプルでたいせつなメッセージを伝える詩の絵本です。
内田也哉子さんの訳も素晴らしいですが、やさしい言葉で紡がれているので、英語の原書をプレゼントしてそれぞれの言葉で読んでもいいですね。
自分に思いを馳せる「最初の質問」
今日、あなたは空を見上げましたか。あなたにとって、いい一日とはどんな一日ですか。窓の向こう、道のむこうに、何が見えますか。街路樹の木の名前を知っていますか。「うつくしい」とあなたがためらわずに言えるものは何ですか。あなたにとって「わたしたち」というのは誰ですか。何歳のときの自分が好きですか。いちばんしたいことは何ですか。人生の材料は何だと思いますか。
シンプルな、けれど立ち止まらないと答えられない質問がつらなります。ささやかなのに、はっとして揺さぶられるような問いもあります。答えながら自分を知り、自分を見つけ、自分をはかり、自分とはぐれます。
今、明日、答えはひとつではなく。こんな小さなことがあなたを作っていくんだよ、なんて気持ちも込めて贈りたい絵本です。
ボブ・ディランの人生の応援歌「はじまりの日」
ノーベル文学賞も受賞したボブ・ディランが、息子を想って作った「forever young」。「いつまでも若く」とも訳されますが、ここでは「はじまりの日」。
君の手が幸せに届きますように、夢がいつかほんとうになりますように、助け合っていけますように、星空へ登るはしごを見つけますようにーそんな、愛するものの未来への想いのあとに繰り返される
Forever young, forever young
May you stay forever young
聴く人によっていろいろな解釈ができますが、フレッシュでピュアで正しい、若々しい心をいつまでも、いつでも、持ち続けてほしい、そんなメッセージに受け止め「毎日が君のはじまりの日 今日も明日も あたらしい君のはじまりの日」とナイスに訳し、旅立ちにぴったりの絵本になっています。
大丈夫、あけてごらん「たくさんのドア」
きょうも あしたも あなたは たくさんの ドアを あけていく そのむこうに たくさんの あたらしいことが まっているー
あなたがどんな人になり、どこへいくのか。あなたの心は誰がひらくのか、何が満たすのか。羽ばたいて知る強さ、困難にあってわかる勇ましさ、憧れて手にする自由さ。おどろきやよろこび。
そのすべてが、目の前に並ぶドアのむこうにある。ドアは可能性。ドアの向こうは未来。さあ、あけてごらん、大丈夫!といざないます。
子どもたちに気づいてほしい、臨む景色と希望。それを広げて見せてくれるような絵本です。あなた自身がその景色と希望の揺るぎない一部だということも。
たくましく生きるヒント「きみの行く道」
世界で人気の絵本作家ドクター・スースによる人生指南書であるこの絵本は、よりリアルな未来をガイドします。
きみの頭には脳みそがたっぷり、きみの靴には足がぎっしり。それで行きたい方へ行けるっていうのだから、もう一人前。行き先を自分で決めて、行く手をよく見て見極めて。もちろん、先々ではいろんなことが起こります。でもどんどん行くうちに、きみ自身も変わっていく・・それがきみの行く道!
いいこともあれば、そうでないこともある。迷うこともあれば、遅れることもひとりぼっちになることもある(それはもう、間違いなくある)。それでも踏み出すこと、歩いていくこと。
人生は機微があってこそ。その楽しさも厳しさも、軽妙な語り口とユーモラスな表現に包んで、たくましく生きるヒントを届けます。中高生からおとな向き。
・・・・・
いかがでしたか?
これからの長い道のりを、楽しくたくましく歩んでいくための支えになるような。そんな本になってくれたらうれしいですね。
すぐにピンとこなくても、本棚の片隅で出番を待ってもらいましょう。
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