見たこともないくらい大きなテントの中は、キラキラした音と色のかたまり。美しい人たち。目をかくした指の間からのぞく、綱渡りや空中ブランコ。いつも過ごしている日常の続きとは思えない、夢に近い世界。
サーカスと聞くと、子どもの頃に触れたあの空気がよみがえる人も、多いのではないでしょうか。
時代を重ねても、あの特別感は、変わらない。おとなも子どももわくわくせずにはいられない、そんなサーカスを描いた絵本の中から、選りすぐりの6冊です。
最高に愛らしい、ベルギー生まれの絵本(2、3歳から)
「サーカスくまさん」
2018年に日本で初お目見えした「はなのこえほん」のシリーズは、70年以上前にベルギーで出版された、最高に愛らしい小さな絵本。
町のサーカスの人気者のくまさんが、ひさしぶりに、森にかえります。みんなに自慢の曲芸を見せていると、あれれ、まねしたチビさんたちが・・・
なんて無邪気で朗らかな世界!くまさんが、自分の「しごと」に誇りと自信を持っているのも、なんとも頼もしいのです。
小さな子向けの絵本ですが、このかわいらしさ、おとなだってメロメロです。
ほのぼののんきなサーカスの絵本(3歳くらいから)
「どうぶつサーカスはじまるよ」
パンパカパーン、という、華々しいというよりもどこか気の抜けたファンファーレからはじまる、どうぶつサーカス。
ライオンの火くぐり(失敗)、カンガルー親子の棒投げ、ワニの組体操、ウマのダンス、ゾウの噴水・・・ほほえましい曲芸が続き、クライマックス。なんと、ケガをしてしまったサルくんの代わりに、観客からブタくんが選ばれ、空中ブランコに挑戦することに・・・
ほのぼのから、突然のハラハラ!
でも、次の一声で、また最高にほのぼのとした気持ちで幕を閉じます。
実際は、いろいろな観点から、サーカスに動物が登場する機会は減っているようですが、こんなのんきなサーカスだったら、観てみたいですよね。
じっくりと眺めたいサーカスの絵本(4、5歳から)
「ふしぎなさーかす」
真夜中の12時。テーブルの上に現れるサーカスを観たければ、決して目を開けてはいけません。こびとたちが怖がりますからね・・・
プロローグ以外、文字はありません。美しい絵を背景に見覚えのある道具で繰り広げられるサーカスは、いつの間にか、すべてが混ざり合い、静かなのに賑やかに。開くたびに、またあたらしい物語が見つかる、不思議な絵の世界。年齢は選ばず、一度夢中になれば、ずっと忘れられない夢みたいに、長く心に残ります。
朝方のテーブル、変わっているのは、時計とロウソクと・・・
サーカスのすべてが細やかに描かれるコマ割り絵本(4、5歳から)
「サーカス!」
古き良きアメリカの、大きなサーカス。広大な光景の中を、何十台ものトラックで、街に移動してくるところから始まります。
夜中の設営作業。賑やかなサーカス村で暮らすのは、団員や動物たちだけでなく、獣医さんや洗濯屋さん、八百屋さん。小学校だってあるのです。
開演前のキャストの表情や、臨場感のある演技の様子、休憩時間の過ごし方、たった一夜の夢の時間を残して、また旅立つまで・・大きなスケールの中の小さな小さな仕草まで、サーカスのすべて(特に裏方の様子)が丁寧にイキイキと描かれ、見ごたえのある1冊です。
サーカスで居場所を見つけた子犬のお話(5歳くらいから)
「ずどんといっぱつ」
ちっぽけでみにくくて、飼い主のおじさんに捨てられてしまった子犬のシンプが、サーカス村にたどり着き、そこで落ち目のピエロのおじさんと心を通わせます。
一発逆転。とはいえ、運命に身をまかせたり運に頼るのではなく、自分の力で扉を開き、幸せを手にする物語です。
こちらに記事もあります→https://kotori-ehon.com/kotoribunko/zudonto/
サーカスに魅せられたパパと、その家族の物語(5、6歳から)
「パパがサーカスと行っちゃった」
サーカスが街にきたことを知り、大喜びのパパ。いつも大げさなパパに、シラケ顏の子どもたちですが、そのテンションに巻き込まれ、あれよあれよと、よそいきの服を着て出かけることに。そしてパパは、サーカスが終わると、なんと、サーカス一緒に巡業の旅に出てしまい・・・
突拍子もなく、でも、とても現代的な、イスラエルの絵本。
家族の形は、いろいろ。家族も、もっと自由でもいい。奇抜な絵や展開と裏腹に、しっかりと家族の姿が描かれます。
こちらに記事もあります→https://kotori-ehon.com/kotoribunko/papa-circus/
いかがでしたか?
華やかなサーカスは、いくら時代が進んでも色あせない、アナログなエンターテイメント。なかなか観にく機会もありませんが、絵本で親しみながら、胸を膨らませておきましょう♪
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