ぼくのかえりみち

新学期、集団で登下校していた子たちも、
そろそろ、それぞれのペースになってきました。

友だち同士で、おしゃべりしながら
前や後ろを歩く子たちにちょっかいを出しながら
ひとりでのんびりと
黙々と

いつも同じメンバーだったり
日によって変わったり

気ままで自由で何より
懐かしく、ほほえましい光景です。 

ぼくのかえりみち

ある日のかえりみち、そらくんは、ふと思いました。

「きょうは、この しろいせんの うえを あるいて かえろう」

道の向こうまで続く白い線をそろりそろりと歩き出す、そらくん。何しろ、線の外に落ちると、大変なことになるのです。

「すこしでも ゆだんすると あぶないぞ」

行く手は、平坦ではありません。楽しそうに遊ぶ友だち、虫、横断歩道、工事、犬・・・ひとつひとつ慎重に乗り越え、家に近づいていきます。

しかし、あともうひと息、というところで、ついに白い線は途切れ・・・

・     ・     ・

誰もが覚えのある、あの帰り道が、絵本に!

白線の外に、深い谷やたくさんのワニ。時には、苦し紛れにルールを追加しながら、家を目指したあのころ。

空想と現実を自由気ままに行き来できる子どもたちと、それを包むおだやかな日常の空気が見事に描かれます。

しっかり現実に戻ってくるラストの展開が、また、よいんだなあ。

 

【この本のこと】

「ぼくのかえりみち」
ひがしちから 作
BL出版

【だれにおすすめ?】

テキストは短いので、幼稚園の子に読むこともできますが、やっぱり自分で登下校する小学生が共感できると思います。

青い空としげる初夏の木々が明るく、道々につらなる風景がどこか懐かしく、読んでいるこちらも、「あのころ」に引き戻されるようです。

 

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