人喰い鬼はゼラルダのごちそうを食べて、手をかけた料理のおいしさに目覚めていつしか心も解け、いちど解けた心はゆるゆるとほぐれて形を変え、真人間として家族を築いて末長くしあわせに暮らしたのです。
小さな勇敢な女の子の、知恵と元気とあたたかさがもたらした、見事なめでたしめでたし。
でも。

血には抗えないかもしれない。
そんなことだってある。
なんて、チラッと描かずにはいられない、風刺画家でもあり人間の不条理にも惹かれたウンゲラーなのでした。
子どものころ読んでもらって、少し大きくなったら自分でめくって、ハタチでこの仕事をはじめて、子どもが生まれて子どもに読んで、子どもが大きくなってきたのでまたわたしはひとりでページをめくって。
自分のために読んで、ずっと引っかかっていたことをつらつらと思いを馳せる、そんなこの頃です。