ゆうやけこやけの、帰り道。
どこかの家から、ナイター中継の音と一緒に流れてくる、晩ごはんのにおい。
通り過ぎながら、ふわっとわが家へ心がとぶ、あの一瞬は、夏の好きなところの、ひとつでした。
近ごろは、窓をしめてクーラーのおうちが多いので、なおさら、そんな瞬間に出会うと、うれしくて、うれしくて。
にんにくや生姜をいっぱい使った、中華もいいね。
焼き魚とおみそ汁のにおいに、ぐっとこない人はいないし・・
でも、いつだって1番、食欲をそそるのは、なんといっても、カレーでしょう。
ちょっと疲れ気味の、夏の終わりは、カレーで決まり!
ラージャは、南の島の、カレー屋です。
どんな材料でも、ぴったりのスパイスで、とびきりおいしいカレーに仕上げるラージャのカレー。
暑さでどんなにぐったりしていても、じっくり辛さのしみこんだラージャのカレーを口にすると、たちまち元気になるのです。
おいしいだけでなく、大事な役目も果たします。
朝、まだ涼しいうちから作り始めるラージャのカレーのにおいは、ジャングルを通って・・・
川ではたらく人たちをはげまし、
バザールの人たちを元気づけ、
お茶をつんだり、畑をたがやす人たちにお昼を知らせ
やがて、においは風にのり、上へ上へ。
そして、とうとう、入道雲をピリピリふるえさせ、カレーのにおいは、かみなりになります。
動物たちをよろこばせ、涼しい風を運んでくる、スコールのわけは、ラージャのカレーだったのですよ。
カレーって、すごいんです!
南の島の、熱い熱い空気の中を、のんびりと流れる時間が、そのまま描かれたような、絵本です。
ラージャのカレーのにおいをまとい、人も、動物も、町もみんなとても、すてきな表情をしています。
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<ラージャのカレー 本日のメニュー>
とれたての白身魚とココナッツのカレー
1 ぴったりのスパイスをまぜます
2 スパイスを粉になるまですりつぶします
3 いためたたまねぎとよーくまぜます
4 魚をトントン切って、ソースをかけて
油でカラリとあげます
5 水とココナッツをいれます
6 大きななべで、グツグツグツグツ煮込みます
7 ヒリヒリからくて、おいしいにおいがプーンとただよってきたら・・・
めしあがれ!
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【この本のこと】
「ラージャのカレー」
国松エリカ 作 偕成社
【だれにおすすめ?】
長くないので、3歳くらいから聞けますが、物語のスケールを味わえるのは、5歳くらいからがいいかな
くいしんぼう、本格カレー好きのおとなも、きっとはまります!
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