公園であそんだ帰り道、近道をするお兄ちゃんのあとにくっついて、いけ垣を通り抜けたけいこは、みたこともない大きな秋の森の入り口に、たっていました。
ドキドキするけいこを、呼び止める声がして、ふりむくと、枝や木の葉と同じ色をしたふしぎな男の子がいます。
”もりのかくれんぼう”と名乗る、その男の子は、かくれんぼをしようと、いうのです。
おにになったけいこは、”かくれんぼう”や森の動物たちをさがしますが、みんな、とってもじょうずに、かくれています。
全員、みつけられるかな?
秋の森の、やさしい金色の中に、息をひそめてかくれているどうぶつたちが、「みーつけた」の合図で、いきいきと動き出しますよ・・・
・ ・ ・
たまらない、あふれる、秋の黄金色!
ファンタジーと、美しく巧みなかくし絵がいっしょになった、たのしい絵本。
子どもならみんな知っている、かくれんぼの静と動。心細さとうれしさ、ドキドキと、ワクワク。見つかるまでの緊張感や、見つかったときの安心、そんなところまで、あますところなく描いています。
「あんたが、この もりに はいってきたときから、おいら、すぐそばに、こっそりかくれていたんだぜ。」
そう言っている通り、”かくれんぼう”は、けいこが森にやってきたときから、ずっと近くでいたずらっぽい笑顔を浮かべています。
そう、表紙でだって・・・ね。
【この本のこと】
「もりのかくれんぼう」
末吉暁子 作
林明子 絵
偕成社
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、3、4歳から
木の葉や夕焼け、秋の色でいっぱいなので、季節にはぜひ手に取りたい1冊です。
みんな、とてもかくれるのが上手なので、よーく探さないと見つからないかもしれません。
”かくれんぼう”にいたっては、上手すぎて、あれどこだっけ??なんて、読むたびに、目を凝らさないといけません。
他のすぐれたファンタジー絵本と同じように、異世界への入り口が身近でわかりやすい、だけでなく、ゆっくりと魔法がとけていくような、現実への戻り方が、とてもいいなあと、思います。
キツネにつままれたような、不思議な気持ちが、残ります。
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