ママってすごーい、その言葉、大好物♪
「あ、パパ!ママが どこかへ いっちゃうよ」と、ぺんぎんチビちゃんがいいました。
「だいじょうぶ。ママはね、きみの ばんごはんを とりに いったんだ。こっちへ きてごらん。ママが みえるかも しれないよ」
本文より
ごはんをとりに行ったママを、氷の上から見ている、パパと息子。
ママは、手を振りジャンプしながら、たくさんのペンギンたちと一緒に、シュシューシュシューと泳ぎます。そして、見事に、魚をパクン!
「ねえ、パパ。ママは およぐのが すごーく じょうずだね。だから すぐに かえってくる?」
「かえってくるとも」と、パパが いいました。
本文より
そして魚をとったママは、陸にヒュンとジャンプ。氷の山もいざ登り、アザラシのそばを、そろーりそろーりと横切って・・・
繰り返される、泳ぐのもジャンプも山登りも「ママはすごーくじょうずだね」という息子の言葉は、もちろんすべて作者お得意のフリです。アザラシのそばを通りすぎるときに事件は起こるのです。
・・・・・・・・・・
ママがこんなふうに、とぼけて描かれるのって、あまりないように思います。
最初にジャンプして手を振っているときから、ママはなんかとぼけた顔をしていて、これからやらかす予感が、ビシビシとするのです。
ママはやりました。おみごとです。と何度もほめられますが、なんかどこか、あおっている雰囲気もあり。普通に一生懸命やっているのに、ちょっとポンコツ・・・これが、パパや息子じゃありふれているのです。ママだって、時には、いじってもらっていいんです♪
ほら、息子の「ママって、すごーい!」は、本心だしね。
実況中継みたいにテンポよく、何度も笑いながら、ずっこけちゃうオチまで。たとえフリだろうとも、ほめ言葉満載だし、読み聞かせている母も楽しくなる絵本です。
作者について
クリス・ホートン
1978年、アイルランド・ダブリン生まれ。イラストレーターでデザイナーで絵本作家。「ザ・ガーディアン」「タイムズ」「インディペンデント」ほか、多くの新聞や雑誌でイラストを手がけている。フェアトレードにも関心が高く、People Tree で行ってきた仕事が 評価され、タイム紙のデザイン100に選ばれる。
最初の本「ちょっとだけまいご」は、 35 か国語に翻訳され、オランダの絵本賞を含む 12 か国で賞を受賞しています。
そのほかの作品
クリス・ホートンのどの作品も、子どもたちを楽しませるアイディアが満載。
そして、どうすればその楽しさが的確に効果的に伝わるか、よーく練られて工夫されています。
一見シンプルでおしゃれな絵柄も、まだ小さい子どもたちにも直感的に伝えるために、構図やページをめくるタイミングなど、細部にまでぬかりなし。だから、面白さが明確で、誰が読んでもおもしろい♪
<わたしの個人的に好きな順>
・・・・・・・・・・