ー あくたれねこの ラルフは、セイラの ねこでした。
あくたれでも、セイラは、ラルフが すきでした。
(本文より)
ある日。
朝から、娘と折り合いが悪く、頭に血が上りまくりだった母さんは、みんなが寝静まってから、この絵本を開き、ひとり、反省するのでした。
だって、このラルフのあくたれぶりときたら。
バレエのお稽古をするセイラを茶化す。ブランコをしていると、ブランコの下がっている枝をノコギリで切る。友だちとのパーティのクッキーを一口ずつかじる。お父さんの大事なパイプでシャボン玉をふく。自転車で食卓に突っ込む。お母さんの小鳥を食べようとする、エトセトラ・・・
全部、悪いとわかって、やっている!
くーー、その様子の、ふてぶてしいこと!
うちの子なんて、ラルフみたいな悪気があるわけでもないし、やっていることだって、(ラルフとくらべたら)赤子のいたずら。かわいいものじゃないの・・・
とね。
ラルフのあくたれさに困りながらも、愛し、受け入れていたセイラでしたが、ある日、見物に行ったサーカスでのラルフのあまりのひどさに、お父さんもお母さんも憤慨。
涙ながらに、サーカスに置いてきてしまいます。
サーカスで、さんざんこき使われ、逃げ出した先では、ラルフよりもっと悪どそうな野良猫たちに怯え、ほうほうの体のセイラのもとに・・・・
反省しても、ラルフがラルフであることに、ホッとして。
セイラの寛大さを、見習おうと誓って。
パタンと閉じると、裏表紙に、あくたれ猫の、天使の寝顔。
・ ・ ・
当の娘に読むと、やっぱり、途中緊迫、最後ほっ・・・
そのほっ・・・には、自分の怒られる悪さなんてラルフにくらべたら大したことない、これで大丈夫なら、私なんて全然、という気持ちが、感じられます。
【この本のこと】
「あくたれラルフ」
ジャック・ガントス 作 ニコール・ルーベル 絵
童話館出版
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、4、5歳から
タイトルからしてインパクト大ですが、内容(ラルフのあくたれっぷりと、その報い)もかなりのもの。
でも、とにかく、ちゃんと愛があって、だから、子どももおとなも、大好きになります。
登場人物の服装や、インテリアも独特のおしゃれで、見どころのひとつなんですよ。
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