「(前略)とにかくクリスマスは、親切と、許しと、恵みと、喜びのときなんです。長い一年のなかでもこのときだけは、男も女もみんないっしょになって、ふだんは閉ざされた心を大きく開き、自分たちより貧しい暮らしをしている人たちも、墓という同じ目的地にむかって旅をする仲間同士なのであって、どこかべつの場所へむかう別の生きものじゃないんだってことを思い出すんです。」
「クリスマス・キャロル」より
サンタクロースからもらったプレゼントのお菓子をすぐにたべてしまった子うさぎのましろは、もっとなにかがほしくなり、別の子のふりをして、ちいさなたねをひとつ、もらいます。
でも、帰り道。うそをついてしまったことを 後悔したましろは、そのたねを、神様に返すために、雪の下深くにうめます。
そして、その神さまの種から出た芽は、次のクリスマスに素晴らしいもみの木に成長して・・・
ほんとうのサンタクロースは、うそをついている子も、受け入れるのでしょう。うそをついて苦しいこころを、思いやるのでしょう。
悪い子の自分を受け入れてもらえたら、子どもはどんなに安心することか。その気持ちに報いたいという思いには、小さなたねを、不思議な美しいもみの木に成長させるほどの、力があるのでしょう。
嘘をついてはいけない、という教訓ではなく、大丈夫、ということを、伝えます。そして、おとなには、赦し受け入れることの大切さを。
子どもたちのすべてを包む、サンタクロースの、深い赦しとやさしさが、いつまでも心に残る、物語。
子どもたちには、「悪い子にはサンタさんこないよ!」とは、言わないできました。
クリスマスは、子どもの一年を総括する日ではないし、子どもの善悪を判断するのはサンタさんの役目ではなく、求めているのは誰にでも平等に愛を届けてくれる存在。
そう思ってずっとやってきたけれど、プレゼントをもらうことばかり考えているように見える長女に、イラッとして言いますね、最近は・・・
サンタさんのご先祖の聖ニコラウスはちょっと怖いお供を連れていて、いい子には贈り物を、悪い子にはムチを作るための枝を持ってきたそうです。今も、聖ニコラウスの日をお祝いする地域では、この伝統が残っているそうですが、これはサンタクロースとは別。
だって、クリスマスは、愛と平和の日だもんね!
子どもたちは、ワクワクで心をいっぱいにしてこの日を迎えてほしいし、積まれていく思い出は、すべてあたたかなものであってほしい。
そのためだけに、サンタさんは、がんばっているのです。
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