妖精は信じる人の心をかてにして
生きていると聞いたことがあります。
「ようせいのゆりかご」訳者あとがき より
くもの巣のゆりかごで眠る、
妖精の女王さまの、赤ちゃん。
銀のうつくしい指ぬきを、
巣にもちかえってしまったネズミの家族。
ブナの木のお茶会に、
おめかしをしてでかける、小さな妖精。
ノアのはこぶねのおもちゃの
ゾウにのってみたかったこびと。
王さまへの贈りものを
掘り当てようとしているこびとたち。
かわいい歌をうたいながら、
夜の見張り番をしている、サクラの木の精。
そして、サンタクロースと、ほかのかざりたちのおかげで、すてきな友だちと出会うクリスマスツリーかざりの、ガラスの小鳥。
物語を紡ぐ名手エインワースのたくさんの物語の中から、ちいさいものたちを主人公にした短いお話だけで編まれた、物語集です。
妖精もこびともサンタクロースも、世界中の不思議なことはみんな、信じることをやめたらなくなってしまうのです。
見たことがあるかどうか、より、ずっと大事なことが、あるのだと思います。
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エインズワースのクリスマスの物語は、絵本でも読むことができます。
わたしが子どもの頃から大好きで、今では子どもたち子どもそれを引き継いでくれている「ちいさなろば」の紹介はこちらにあります→https://kotori-ehon.com/kotoribunko/tisanaroba/
2021年に出版された「こねこのウィンクルとクリスマスツリー」も、一度読んですぐ、親子でとりこになりました。
クリスマスツリーの興味津々のこねこのウィンクルが、お母さんにだめだと言われていたにもかかわらず、夜にこっそりツリーにのぼってしまいます。そこでツリー飾りの妖精のおにんぎょうとなかよくなり・・・
失敗しちゃうウィンクルも、助けてくれる妖精のお人形も、同じくらい半人前なのが可笑しくてかわいい。それにこの絵本は、エインズワースの物語だけでなく、挿絵もとてもいいのです。一見クラシカルで重厚なのに、表情豊かでユーモアがあって思わず笑っちゃう・・・物語にぴったりです。
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