あつくて、あつくて・・・
気がつくと、床にころがっている。
何をするにも、いつもの、倍くらい、かかって。
というか、ほんとうは、何にもしたくなくて。
だって、暑くてやる気が起きないから、学校は夏のあいだずっと、お休みなわけで。
日本では、お盆休みというから、ちょっとピンとこないけど、外国では、バカンス。暑くて働いていられないから、お休みするわけで。
いいんです、それで。
まあいいか、暑いしね・・・
の気持ちで、ゆるし、ゆるされる、そんな夏が大好きです。
ーとってもあついひ、えきのプラットホームで、うまのはいどうさんは、ぼうしをとってあせをぬぐっていると、でんしゃがやってきたので、いそいでヒヒンととびのりました。
ベンチに置き忘れた帽子をみつけたきつねのとりうち君は、トイレでこそっとかぶってみて、そのイカした姿に、ポーッとなって、かごを忘れていきました。
かごをみつけたブタの三吉は、はいっていたお風呂道具を持って銭湯にいき、シャンプーを忘れ、そのシャンプーのにおいにうっとりしたうしの山口さんは、キャラメルを落とし、そのキャラメルをひろったやぎのよし子さんは、ハンカチをとばし、そのハンカチをひろったくまののぶこさんは・・・
異国情緒あふれる、どこかの小さな町での、できごとです。
暑くて、暑くて、みんな、うっかりしています。
暑くて、暑くて、みんな、こまかいことを、考えられません。
これが冬だったらと、考えてみると・・・ブルブル、ふるえます、きっと、殴り合いでしょう。
暑さでポーッとするくらいが、ちょうどいいことも、たくさん、あるんですよ。
せっかく、暑いのだから、ポーッと、すごしましょうね。
【この本のこと】
「あつさのせい?」
スズキコージ 作 福音館書店
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、4歳くらいから
切れ間なく、次々に連なっていくお話。時代も場所も不明な町。短い絵本ですが、読み応えは十分。むしろ、短いからこそ、キツネにつままれたような気分で、何度も開きたくなります。
みんなちょっと悪いことしているのに、めでたしめでたし、なのも、もちろん暑さのせい、ですね。