さんまは、特別。
お店に並びはじめて「あ、もうサンマの季節か」と思っているうちに、漁獲量や価格がニュースになり、友だちの誰かから食べた話を聞いたら、もう。次の週末には、間違いなく食べています。
今年は豊漁で大きくておいしい、というので、もう3回食べました。
それなのに。おいしそうな食べものの絵本はたくさんあって、おにぎりのような主食からちくわやしらすみたいなニッチな食材まで、幅広く描かれているのに。サンマの絵本はあまり見かけないのは、なぜでしょう。

わたしのベスト・オブ・サンマの絵本は、「きょうのごはん」
初秋の街角を歩く猫がのぞく、それぞれの家の夕食の光景がつながれる絵本で、さんまは最初のおうちの食卓にあがっているだけなのですが、でも、この表紙のさんまの絵が、大、大好きです。
このお宅には赤ちゃんもいて、お母さんが商店街の魚屋さんの「さんま祭り」のチラシに魅かれてさんまを買ってきて、お兄ちゃんが大根をおろす係なんです。完璧な焼き上がりのさんま、きちんと水にさらされたおひたし、ごはんのお供に分厚く切ったたくあん、ガラスの醤油瓶。掃除の行き届いたお部屋、素朴だけど整えられた卓上。
たった3ページ登場するだけなのに、言葉はひと言ふた言しかないのに、家の空気や家族の背景がまるっと伝わってきます。
双子の女の子がお使いしてきた材料で作ったお鍋いっぱいのカレー、こだわり派のパパが作るお肉いっぱいのオムライス、現場帰りのパパと待ち合わせして買い物して、みんなで丸めたコロッケ、いつもと変わらぬ1日を過ごしたじいじの誕生日のお寿司、夕暮れの屋台のうどん。
食卓の数だけ、物語がある。
そんなことをしみじみと感じる、おいしい絵本です。

わが家のさんまは、炭火で網焼き。だから週末しか食べられない・・・こんがりいい塩梅に焼くの、難しいですよね!
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食欲の秋にふさわしい、ごはんの絵本、こちらでも紹介しています

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