子どもと絵本を読むということは、どういうことなのでしょう。
読まなくても育つ。他のものでも育つ。でも、わたしたちはなぜこんなにも、子どもと絵本を読むことに惹かれるのでしょう。
子どもと絵本を長く深く楽しむために、大切にしたいことを考えてみました。
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絵本は「もの」ではなく「時間」
小さな子にとって、絵本の何がいちばんかというと、内容ではなく、読んでもらっている時間なのだと思います。
はじめて絵本に出会う小さな子にとって、絵本は「もの」ではなく「時間」。
おひざやねんねでスキンシップをしながら、あたたかい声がきけたり、笑いあえる・・・絵本で大切なのは、それがよい内容かどうかではなく、読んでくれるお父さんお母さんの存在です。
どんな内容か、よりも、誰にどんな風に読んでもらったか、が残っていきます。
絵本は愛情確認装置
絵本屋をやっていた頃、時々、若いお客さんたちが、友だちと競うようにして、あれ読んでもらったこれも読んでもらった、と言い合う姿を何度も目にしました。それは、とてもうれしそうで、絵本を読んでもらったということが、愛されていた証になり、自信につながっていくんだなあと、感じていました。
また、子どもが大きくなるにつれ、怒ることも悩むことも増え、さらに成長し何もかも話してくれる年齢でなくなっても、絵本を読む習慣は、いろいろなことをリセットするよい時間をもたらし続けてくれます。
そしていつか、絵本を卒業するときがきても、その記憶や積み重ねた時間は、生きていく上での礎となってくれると思います。
絵本を読むことを通してお互いの愛情を感じ、気持ちが通じ合い、満たされるー 絵本にはいろいろな力がありますが、この、愛情確認装置としての役割を、わたしはとても大事にしています。
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