これから、子どもとたくさん絵本を楽しみたい、絵本で子育てを豊かにしていきたい、と思っているお母さんお父さんへ。
毎日の中に、自然に絵本のある暮らしーそのために必要なことは、ふたつだけです。
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お母さんお父さんが、絵本を大好きになること
小さな子どもにとって絵本は、誰かが一緒に読んでくれなければ、なりたたない楽しみ。これは、映像や音楽とはちがう、絵本ならではの素敵なところです。
そして、絵本の楽しみというのは、手っ取り早く刺激が強い映像などの娯楽とくらべて、地味で淡く、おだやかです。パッと手に入るものではなく、じわじわと時間をかけて沁みていくものです。
ただ、ここに子どもがいて、絵本があるだけでは、何も起こりません。ただの、紙でできたおもちゃ。
おとなが子どもの手をとって、絵本の世界へ導いてあげることが必要です。
いろんなたのしみかたができる、広い広い世界。その子にとってよい方向に進むために、どんな風に、どんな絵本を楽しんでいきたいのか、親が考え興味を持ち、舵をとってください。
そうやって見つけた絵本の世界は、親子ともにたのしいだけではなく、親にとっては子育てを豊かにする強い味方になり、子どもたちにとっては、愛情のつまった時間としなやかに生きる力をくれるものになっていくと思います。
いつも身近に本があること
そしてもうひとつは、いつも身近に本があること。
子どもが小さいうちは、破かれたり壊されたりすることが嫌で、手の届かないところへ置いてしまうおうちもあるかもしれませんが、ボードブックなどの丈夫な絵本を数冊でもいいので、赤ちゃんが自分で触れられる場所に置いておいてください。
自然に、自由に、身近に、いつでもさわれる場所に本がある環境を与えてあげる。
そのうち、ハイハイやよちよち歩きで、絵本をもってくるようになるのは、本当にかわいいです。
そして、たくさんでなくてもいいから、お気に入りの絵本は「自分の」ものとしてあることも、大切です。
通り過ぎていくのではなく、積み上げていく。
とくに、小さい子向けの絵本は、何度も何度も繰り返し読むことで楽しみを深めていくもの。たくさんの種類を読むよりも、数冊を手元に置くほうがよいと思います。
子ども部屋の本棚は、子どもの成長記録、家族の思い出のアルバムのようなものになっていきます。
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子ども時代を経てひさしぶりに、おとなとして絵本と向き合い、どう付き合えばいいのかな・・・と戸惑っているお母さん、まずは、こんな本はいかがでしょう?
「ぐりとぐら」の作者の中川李枝子さんと、101冊の絵本のおはなし。保育者時代を中心に、子どもとして、母として、人生の折々で出会った絵本にまつわるエピソードを綴ります。
見開きごとに、絵本の中の1場面とエッセイで構成。
子どもってこんなふうに絵本と関わるんだ、絵本にはこんな一面が、こんな楽しみがあるんだと、思い出したり気付かされることも多く、これから始まる子どもと絵本のある生活が、楽しみになると思います。
子ども時代から豊かに絵本と関わり、絵本からの影響も絵本への造詣も深い、作家の江國香織さんの絵本にまつわるエッセイ集。
多くのよい絵本にふれてきた江國さんの確かな審美眼。その素晴らしい洞察力と感性を通して語られる絵本は、よく知るものも、また別の一面に気付かされたり、より魅力的に思たり。
絵本はこんなにも深く関われるものなのです。ね、これからが楽しみになりますよね?
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