ふだんの生活の中で、地平線をみることなんて、めったにないけれど、旅先などで、それが見える場所に立つと、沸き上がる力をかんじます。
どこか、想像もできないくらい遠くのどこかに、つながっているような自由な、のどかな気持ちになる、水平線とは少し違って。
地平線は、わたし次第でどこにでも行かれるんだ・・・って、スタート地点に立っているような心意気。
どこか外国の砂漠の中で、旅人が遠くへ行くためにバスを待っています。
ー空は ひろくて
風は そよっとしています
まだ バスは きません
トントンパットン
トンパットン
ラジオをつけ、トラックや、いろんな人が通りすぎ、夜がきましたが、まだバスはきません。
朝になり、待って待って、やっときたと思ったら・・・
旅人は、すこし待って、やっぱり歩いて遠くに行くことにしました。
トントンパットン
トンパットン
バスに乗っていくのも、乗ったはいいけれど、あんまりぎゅうぎゅうで途中下車してしまうのも、より道ばかりなのも、遠くへいくのをやめてそこに家をつくるのも、どれも、それぞれ、旅のかたち。
ただ、地平線だらけのこの絵本を見ながら、心地いいリズムに身をまかせていると、つい、歩いていってみたくなります。
だって、時間はたくさんあるんだし、大地は、こんなに広く、続いているし。
なにか、たのしいことを見つけられるような、気がするし。
こんなに、のんびりしている絵本なのに、地平線の力で、なんとなく、心意気。
【この本のこと】
「バスにのって」
荒井良二 作 偕成社
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、3歳くらいから
旅人がバスに乗ろうとしたけれど、なかなかこなくて、やっと来ても満員で乗れなくて、歩いて行くことにした、それだけのお話。
でも、そこに、異国の空気や、リズムが加わり、広い空が、夜の暗闇が、のんびりした人々が、そして地平線が加わり、独特の世界を作り出します。
子どもに読むのはもちろん。
これから1歩を踏みだす人への贈り物にも、おすすめです。
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