ペレは、自分で世話をする、自分だけのこひつじを1ぴき、もっていました。
ペレもひつじも、成長し、ひつじの毛はながく伸びましたが、ペレの服は、短くなるばかりです。
ペレは、あたらしいうわぎを作ることにし、こひつじの毛をかりとり、おばあちゃんのもとを訪ねます。
そこで、畑の草取りをするかわりに、毛をすいてもらい、その毛をもって別のおばあちゃんのところで牛の番をするかわりに、糸につむいでもらい、その糸をもって、ペンキ屋さんのところに・・・
ペレは、そんな風にして、あたらしい服を、きちんと、立派に仕立てるのでした。
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たくさんの人の「手」によって、ひとつのものが作り上げられていく過程が、スウェーデンの牧歌的な春を背景に、丁寧にゆるぎなく描かれ、こまかなところまで興味深く見入ります。
甘くやさしいだけでない、おとなたちのまなざしのもと、子どもたちは、おおらかに成長を実感すること。
みんな、それぞれに、自分のできることをもち、何かを得るために、それを提供し合うこと。助け合うこと。
ベスコフの描く、生活を営むということの根っこの中で、ほこらしげなペレの、赤いほっぺがほほえましく、とても、頼もしいです。
【この本のこと】
「ペレのあたらしいふく」
エルサ・ベスコフ 作
おのでらゆりこ 訳
福音館書店
【だれにおすすめ?】
読んであげるなら、4、5歳くらいから。
小学生のひとり読みにも、おすすめです。
大きな美しい絵で、馴染みのない風景や暮らしぶり、手仕事にふれることができるのも、楽しみのひとつ。起伏のある物語ではないけれど、身近なものが出来ていく工程がとても興味深く、子どもたちも楽しみます。
ペレのあたらしいふく /福音館書店/エルサ・ベスコフ
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