ともだちは緑のにおい

緑色の地球にむかって、太陽が、光の指をのばして呼びかけた。「いっしょにあそぶもの、この指とまれ」

そんな、ひとすじの光のさす、地球のおでこみたいな草原で、ある日、ライオンとかたつむりとろばの友情が、生まれました。

ともだちは緑のにおい

3人でしげみに座り込み、風になる日も、あります。

たのしかったお月見のお返しに、月に、夜中、手品を見せてあげた日も、あります。

特別ていねいに、耳を手入れして、草原の音を聞いた日も
かたつむりの名札の印が決まった日も
ろばが、ゆっくり歩いて、たくさん歌を作った日も
ライオンが、「てつがく」をした日も。

3人の時間と、ひとりの時間と、地球の時間。

それぞれが、ゆるやかにからまりながら、時間はおだやかに流れ、気持ちのいい毎日をどこまでも、どこまでも、ふんわり、ふんわりと、紡いでいます。

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詩のような物語のあいだに、物語のような詩がはいった、童話集です。

工藤直子さんの物語に登場する、動物や虫、自然の木々や花たちは、みんな、こころにちいさな想いがあって、その想いが叶っても、叶わなくても、あるがままに受け入れ、しなやかです。自分だけでなく、相手も受け入れ尊重します。

みんな、あまり深く考えないで、ちょうどいい大きさの満足を持っていて、そのことが読者をも安らがせてくれます。

理屈なんて、おいといて、耳をすまそ。

海の友だちの話もあります https://kotori-ehon.com/kotoribunko/tomodati-umi/

 

【この本のこと】

「ともだちは緑のにおい」
工藤直子 作
長新太 絵
理論社

【だれにおすすめ?】

自分で読むなら、中学年くらいから。もう少し小さい子に、読んであげてもたのしいです。

とてものんびり、ゆったりした気分になるので、休日や夜の時間のあるときに、おとなの人にも読んでみてほしいです。

 

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