スプーンおばさんのクリスマス

ー それから あたしは、やどりぎで つくった わかざりも ほしい。そのわを ドアの上に かけとけば、あたしたち その下で「クリスマスおめでとう」を いって、ちょっと クリスマスのキスが できるのに・・・うちのひとは、そんなの まったくいらないぞって いうだけなんだわ!

  「スプーンおばさんのクリスマス」より

あるクリスマスの近い朝、今日はご主人と市場へ出かけるというのに、スプーンみたいに小さくなってしまったおばさん。

でも、それを利用して、自分は欲しいけれど、おじさんは全くいらないという品を3つ

小鳥のための麦わら
素敵な鳥の家
ヤドリギのリース

を手に入れようと、おばさんは考えます。

ときどき、ティースプーンくらいに、ちいさくなってしまうスプーンおばさん。ちいさくても、一人前に何でもできるおばさんですが、保守的なご主人は、そのことを他の人に知られるのをとてもいやがっています。

おばさんは、そのおじさんの思いを逆手にとって、「まったくいらない」もの・・・

そして、やどりぎの下のキスまで、手に入れてしまいます!

スプーンおばさんの故郷はノルウェー。北欧の人たちの風習に触れられるのも、魅力のひとつです。

赤いひいらぎ、白いやどりぎ♪と歌っていたのは、イギリスのグレイ・ラビット。

ヨーロッパでは、ひいらぎと並んで、クリスマスにかかせない、やどりぎ。

クリスマスの絵本の背景をよくみてみると、市場に、窓辺に、だんろの上に、ドアの敷居に、この、白い実が見つかります。

キッシングバンチ(ボール)というボールのかたちのものもあり、そのヤドリギの下で恋人同士がキスをすると幸せになれるとか、女性はキスを拒めないとか。

スプーンおばさんも、ちゃーんと、叶えてますもんね。

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【この本のこと】

「スプーンおばさんのクリスマス」
アルフ・プリョイセン 作 ビョーン・ベルイ 絵
大塚勇三 訳 偕成社

【だれにおすすめ?】

読んであげるなら、4歳くらいから。

「小さなスプーンおばさん」を読んでいると、いっそうたのしめます。

「小さなスプーンおばさん」は童話の形で、自分で読むなら3年生くらいからですが、1話1話はそれほど長くなく、とってもおもしろいので、5歳くらいから読み聞かせで楽しむこともできます。

この絵本や「ロッタちゃんのクリスマスツリー」は北欧のクリスマスの様子がのぞけるので、北欧好きな人も、必見です。

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発売日 :1979年12月  著者:アルフ・プリョイセン, ビョルン・ベルイ  出版社:偕成社
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