いちごばたけのちいさなおばあさん

 

おひさまの光も、ずいぶんやわらかくなって、もうすぐ春だな・・・

ってうれしく思っていると、突然、雪が降るくらい寒い日がやってきて、すぎると、またあたたかくなって。

それを何度かくり返しているうちに、そういえば自転車にのっていても、ほっぺが冷たくないし、公園を通るといいにおいだし、鼻がむずむずするし、いつのまにか本当の春がやってきているのに、気がつきます。

あたらしい季節は、いつも、そうやってやってきます。

そんな、冬と、春の間に、いちごばたけでおきた、おはなしです。

いちごばたけのちいさなおばあさん

いちごばたけの土の中にすむ、ちいさなおばあさんは、たいせつな仕事をしています。

あたたくなり、大きく育ったいちごの実に、あの、たっぷりとかがやく、赤い色をぬるのです。

おばあさんは、毎年、春が近づくと、木の根っこをつたって、おおきな瓶にたまったおひさまのひかりをたっぷりすいこんだ水に、土からほりだしたみどり色の宝石みたいな石をくだいてまぜて、いちごの色をつくります。

そして、その、大切な仕事の日がくるまでは、土の中の居心地のいいおうちで、ゆっくりと過ごしているのです。

ところが、ある年。

まだ春はまだ先だというのに、あたたかい日が続き、畑の雪がとけてしまいます。

大慌てで、仕事にとりかかった、おばあさんですが・・・

・     ・     ・

ストーリーは、もちろん。

おばあさんの質素で清潔な生活のようすと、仕事ぶり、いちごばたけのひみつに、魅せられます。

大変な仕事を終えて、いちごを抱えてうとうと眠るおばあさんの姿の、しあわせそうなこと!

日本らしく、おだやかで、やわらかな、ファンタジーです。

 

【この本のこと】

「いちごばたけのちいさなおばあさん」
わたりむつこ 文
中谷千代子 絵
福音館書店

【だれにおすすめ?】

読んであげるなら、4歳くらいから。

中谷千代子さんの描く絵は、見つめる目があたたかくて、大好きです。シンプルに描かれた土の中のおばあさんのおうち、仕事場、その暮らしぶりが、物語とぴったりと合い、想像をふくらませてくれます。

ワクワクして、ハラハラして、がっかりして、ホッとして。

おだやかなのに、ちゃんとドラマチックな、素敵なファンタジーです。



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