わたしのぼうし

 

妹や友だちとおそろいの、バッグや、ハンカチ、キーホルダー、ぬいぐるみ。

ほんの小さな傷や汚れが、それぞれの「わたしの」印で、その目印は、多ければ多いほど、どこか誇らしかった。

ピカピカの新品は、うれしいけれど、代わりには、なりません。

なくしてしまったら、その傷や汚れををつけた「わたし」や、大切にしていた「わたし」まで、なくなってしまったみたいな感じが、するのでした。

お兄さんと色違いの、わたしのぼうし。

どちらも、少し古くて、少し汚れていました。

動物園で、羊がかみついて、お兄さんひっぱって、歯形がつきました。

デパートで迷子になったときは、ぼうしのおかげで見つかりました。

そんなわたしのぼうしが、おばあさんのうちへ行く汽車の窓から飛んでいってしまったのです。

わたしは泣いて、次の日、お父さんがわたしとお兄さんに、あたらしいぼうしを買ってきてくれましたが、わたしは、かぶる気になりませんでした。

わたしのぼうしのようでは、なかったのです。

かじって、歯形をつけて、少し汚してかぶっても、やっぱり、わたしのぼうしのようでは、ありません。

でも、そこへ、ちょうちょが飛んできて・・・

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「わたしの」になるには、物語が、必要。

その物語を紡いできた、時間が、
「わたしの」証だからね。

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【この本のこと】

「わたしのぼうし」
佐野洋子 作 ポプラ社

【だれにおすすめ?】

読んであげるなら、5歳くらいから

小学生くらいになると、「わたし」の気持ちに、より共感できると思います。

佐野洋子さんらしいリアル。きれいごとでも子どもだましでもない、本当のことが描かれています。

 



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